日本人が大好きな「安すぎる外食」が国を滅ぼす 「ビッグマック指数」に見る経営者の歪み

東洋経済オンライン / 2019年2月22日 7時30分

日本の「ビッグマック指数」が低すぎるのは、「経営者の哲学」に問題があることの証拠だといいます(撮影:尾形文繁)

オックスフォード大学で日本学を専攻、ゴールドマン・サックスで日本経済の「伝説のアナリスト」として名をはせたデービッド・アトキンソン氏。退職後も日本経済の研究を続け、『新・観光立国論』『新・生産性立国論』など、日本を救う数々の提言を行ってきた彼が、ついにたどり着いた日本の生存戦略をまとめた『日本人の勝算』が刊行された。

人口減少と高齢化という未曾有の危機を前に、日本人はどう戦えばいいのか。本連載では、アトキンソン氏の分析を紹介していく。

■「日本の常識」か「人口増加の常識」か

地価が上がるのは人口が増加しているから。インフレも人口増加がもたらしている。GDP(国内総生産)が成長する主因もまた人口増加。1990年代初頭まで神社の初詣のお賽銭も増加傾向だったそうですが、これもまた人口増加によるところが大でした。

戦後日本が経済的に他の国をしのぐ勢いで急激に成長したのも、その主たる要因は人口動態で説明ができます。日本ではアメリカを除く他の先進国を大きく上回る勢いで人口が激増しました。これが日本の急成長の主要因です。

もっと大きく言えば、そもそも資本主義は、人口が増加した時代にできた制度です。

実は社会の常識の多くが、人口動態で説明可能なことに気がついたのは、ごく最近です。海外でもごく最近になって、人口増加と経済成長の関係を研究する学者が増えていますが、論文はまだ非常に少なく、たいへん注目されている分野です。

では、人口が減少するとどうなるでしょう。推して知るべしです。

日本はすでに人口減少の時代に突入しています。パラダイムがすでに変わってしまっているので、対処を急がなくてはいけないのです。

変えなくてはいけないものの1つが、企業経営者のマインドと戦略です。

松下電器産業(現パナソニック)の創業者である松下幸之助氏は、日本では今でも経営の神様として崇め奉られています。

松下氏の経営哲学の根幹にあるのは、「水道の水のように低価格で良質なものを大量供給することにより、物価を低廉にし、広く消費者の手に容易に行き渡るようにしよう」という、「水道哲学」として知られる思想です。要は「いいものを、安く、たくさん」です。

この考え方は松下幸之助氏がご存命の時期、つまり毎年子供がたくさん生まれて、人口そして消費者も増えていた時代では、最高の戦略でした。

利益率が短期的に若干低くなったとしても、価格を安くすることによって需要が大きく喚起され、規模の経済がどんどん広がり、結果として人口の増加以上のスピードで、商品を広く普及させることができます。その結果、パイが大きくなって、長期的により大きな利益につながるという、ものすごく賢い戦略だったと思います。

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