「間男」へ離婚の慰謝料請求が通らなかったワケ 注目の最高裁判決、「時効」ではなかったが…

東洋経済オンライン / 2019年2月22日 13時0分

民法では、不法行為による損害賠償請求は、「不法行為を知ったときから3年間行使しないときは時効により消滅する」と規定している。この条文をそのまま当てはめると、元夫の第三者に対する慰謝料請求は時効消滅により認められないという結論が簡単に導かれそうである。

しかし、今回の最高裁判決は、時効消滅について一切触れていない。なぜか? ここで、冒頭に説明したように配偶者の不貞行為に対しては2種類の慰謝料があることを思い出してほしい。不貞慰謝料と離婚慰謝料である。

■時効の起算点が異なる

実は、この2つの慰謝料は、同じ不貞行為に端を発したとしても、時効の起算点が異なるのである。どちらも3年で時効は消滅するが、不貞慰謝料の時効の起算点が「不貞行為を知った」ときであるのに対し、離婚慰謝料の消滅時効の起算点は、「離婚成立時」とされている(1971年7月23日最高裁判所第二小法廷判決)。

離婚慰謝料は、離婚が成立してはじめて損害として評価されうるということが理由である。元夫が第三者に対して離婚慰謝料を請求した2015年11月は、たしかに不貞行為を知ってから5年以上経過しているが、離婚からはわずか9カ月。となれば、元夫の離婚慰謝料請求は、時効消滅していない。

このような事情から、今回の元夫は第三者に対し、「不貞慰謝料」ではなく、不貞行為によってやむなく離婚に追い込まれたとして「離婚慰謝料」の請求に踏み切ったものと思われる。

では、今回の最高裁判決が示す「特段の事情」の中身は具体的にどのようなものか? 今回の最高裁判決は、「特段の事情」について以下のように述べている。

「夫婦の一方と不貞行為に及んだ第三者は、これにより当該夫婦の婚姻関係が破綻して離婚するに至ったとしても、当該夫婦の他方に対し、不貞行為を理由とする責任を負うべき場合があることはともかくとして、直ちに、当該夫婦を離婚させたことを理由とする不法行為責任を負うことはないと解される」。

「第三者がそのことを理由とする不法行為責任を負うのは、当該第三者が、単に夫婦の一方との間で不貞行為に及ぶにとどまらず、当該夫婦を離婚させることを意図してその婚姻関係に対する不当な干渉をするなどして当該夫婦を離婚のやむなきに至らしめたと評価すべき特段の事情のあるときに限られるというべきである」。

わかりやすく解説すると、

「夫婦の一方と不貞行為を行った第三者は、不貞慰謝料を負う場合がありうるが、だからといってつねに『離婚慰謝料』の責任を負うわけではない」。

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