「間男」へ離婚の慰謝料請求が通らなかったワケ 注目の最高裁判決、「時効」ではなかったが…

東洋経済オンライン / 2019年2月22日 13時0分

「第三者が離婚慰謝料を負うのは、単に不貞行為があったというだけでは十分とはいえず、離婚させることを意図して夫婦関係に不当な干渉をしたりするなどして、当該夫婦が離婚せざるをえないような状況に追い込むような事情がある場合のみ」ということだ。

最高裁の言う特段の事情の内容は、「当該夫婦を離婚させることを意図してその婚姻関係に対する不当な干渉をするなどして当該夫婦を離婚のやむなきに至らしめたと評価すべき事情」ということになるが、今回は、そのような事情はなかったので、元夫の請求は退けられたというわけである。

さらに今回の判決中で、「夫婦が離婚に至るまでの経緯は当該夫婦の諸事情に応じて一様ではないが、協議上の離婚と裁判上の離婚のいずれであっても、離婚による婚姻の解消は、本来、当該夫婦の間で決められるべき事柄である」とも述べている。

■この判決から導かれる教訓は?

この意味するところは、離婚は夫婦間の問題であるから、第三者の関与を問題とする場合には、よほどその第三者の関与が大きな場合でなければならない、ということである。

今回の事例は、元夫が元妻の不貞を知ってから第三者に離婚慰謝料を請求するまでの間に5年以上の年月を経ており、その間に夫婦間にさまざまなことがあったことは想像に難くない。他方で、上記の「特段の事情」もないのであるから、元夫から第三者に対する離婚慰謝料請求を退けた最高裁の判断は至極当然の結論だろう。

この最高裁判決から導かれる教訓は、配偶者の不貞を知った場合に悔いを残さないためには、3年以内にきっちりと慰謝料請求をしておく、ということである。

夫婦関係を円満に戻したいと希望している配偶者にとっては、婚姻中に配偶者・第三者それぞれあるいは双方に対し、慰謝料請求をすることには躊躇を覚えることもありうる。さらに離婚慰謝料の時効の起算点が離婚時であることを知ったならば、離婚後に離婚慰謝料を請求すれば足りると思うのは人情であろう。今回の件は、そのような背景事情があったのかもしれない。

しかし、今回の最高裁判決で、元夫から第三者に対する離婚慰謝料請求は、「特段の事情」があるときにのみ認められる極めて限定的なものであることが明らかになった以上、後悔しないためには、不貞の事実を知ってから3年以内に不貞慰謝料を請求しておくことが、最善の策といえよう。

中里 妃沙子:弁護士法人丸の内ソレイユ法律事務所 代表弁護士

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