「データ苦手な人」には経営者になる資格がない これから「生産性向上」には逆風が吹き始める

東洋経済オンライン / 2019年3月8日 6時30分

経営者が変わらないと、日本はこれまで以上に苦しくなる「証拠」があるといいます(撮影:尾形文繁)

オックスフォード大学で日本学を専攻、ゴールドマン・サックスで日本経済の「伝説のアナリスト」として名をはせたデービッド・アトキンソン氏。退職後も日本経済の研究を続け、『新・観光立国論』『新・生産性立国論』など、日本を救う数々の提言を行ってきた彼が、ついにたどり着いた日本の生存戦略をまとめた『日本人の勝算』が刊行された。

人口減少と高齢化という未曾有の危機を前に、日本人はどう戦えばいいのか。本連載では、アトキンソン氏の分析を紹介していく。

■経営を「サイエンス」に変えよう

日本経済がこれほどまで長きにわたって低迷し続けている最大の理由は、経営戦略が間違っているからです。

日本以外の先進国ではこの30年間、できる限り経営をアートからサイエンスに変えていくべく、ビッグデータの活用をはじめ、調査分析能力の向上に努めてきました。私がアナリストとして駆け出しだった1990年ごろと比べて今の時代は、データの種類は非常に多く、データの入手も簡単です。高度な分析も、パソコンで簡単にできるようになりました。

データそれ自体には、価値はありません。ただ単にデータを集めるだけではなく、仮説を立て、分析・検証をしたうえで戦略を立案・実行するという経営スタイルがすでに一般的になりつつあります。

このような検証重視の動きは民間企業だけではなく、国の政策立案にも及んでいます。データに基づき仮説検証を行ったうえで政策を立案する方法は、evidence based policy makingといいます。

その方法は、とりあえずの仮説をデータで検証したうえで、シナリオ分析をし、客観性を強化していくというものです。人の感覚はデータを解釈するときや、データや分析をどう展開していくべきかを決めるときのみに使うことが基本となっています。データの結果を人間が見る、人の感覚をデータで確認する、この2つが重要だと思います。

一方、日本ではいまだに多くの経営者にとって、経営は「アート」のままです。「俺はそう思わないから」という根拠のない理由で、物事を判断する経営者がまだまだいます。国にいたっては、evidence based policy makingに必要不可欠な統計があのような状況です。最近になるまで統計の誤りに気づくことができないほど、データを大切にしてこなかったのでしょう。

アートという言葉は「芸術」と訳されることが多いので、なんだかすばらしいことのように感じるかもしれませんが、データを無視した感覚だよりなので、こと現代の企業経営にはそぐわない古い考え方なのです。

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