「データ苦手な人」には経営者になる資格がない これから「生産性向上」には逆風が吹き始める

東洋経済オンライン / 2019年3月8日 6時30分

とくに「日本人が大好きな『安すぎる外食』が国を滅ぼす」で紹介した「いいものを、安く、たくさん」のように、コストを下げることは上手であっても、付加価値を高めることに関しては、これまでの歴史を紐解いても、芳しい実績はあまり見つかりません。

つまり日本の経営戦略は優秀な人を多く、安く使う、機械を使うという単純な管理の領域を超えていないとも言えるのです。わかりやすく言うと、いいものを安くは作れるけれど、ダサいのです。機能性を重視するあまり、デザイン性、ブランド力が弱い。人的・物的生産性はいいのですが、デザイン性やブランド力が伴わなければ、全体の生産性は低いままになってしまいます。

■一部の企業が頑張るだけでは、日本はもたない

ここ数年、日本で生まれた商品が、かつてのウォークマンのような世界的なヒットになることはほとんどなくなってしまいました。一方、日本企業はすばらしい部品を作っていて、iPhoneなどでも盛んに使われています。そういうすばらしい部品を手に入れやすい状況にあるにもかかわらず、世界的にヒットする最終商品を作れていないというのは、まさに人的・物的な生産性が高く、全要素生産性が低い最たる証拠です。

人口減少が加速する日本では、今後一部の企業だけが頑張っても、どうにもなりません。日本全国、津々浦々の企業に生産性向上への貢献をしてもらわないと、年金や社会保障費の捻出ができなくなります。それには、最も難しいと思われる全要素生産性の向上が不可欠になります。

先ほども説明したとおり、アベノミクスは40代の人口構成比が増えるという、誰も気がついていなかった追い風が吹く中で進められてきました。結果として、一定の成果を収めてきたのは事実です。しかし、これからは全面的に逆風が吹きます。正に正念場を迎えつつあるので、経営者改革は待ったなしです。

もちろん、いくら「経営者を改革すべし」と訴えても、政策が伴わなければ「お題目」にすぎません。だから私は、継続的に最低賃金を上げていくべきだと主張しているのです。この政策は、日本全国津々浦々の経営者に生産性を上げさせる「プレッシャー」をかけて、彼らを動かすことができる、唯一の政策なのです。

デービッド・アトキンソン:小西美術工藝社社長

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