製紙各社、10年ぶり「新聞用紙値上げ」の覚悟 聖域についにメス、業績不振で「背水の陣」

東洋経済オンライン / 2019年3月12日 7時30分

新聞用紙最大手の日本製紙は今年1月、10年ぶりの新聞用紙の値上げを打ち出した(記者撮影)

デジタル化とペーパーレスが進み、業績不振にあえぐ製紙会社にとって、久々の福音となるのだろうか。

製紙各社は2018年から印刷・情報用紙や段ボール原紙などの値上げに動いている。紙の需要が減少している中での価格引き上げだけに、製紙会社は「背水の陣」の姿勢で臨んでいる。中でも、2008年以来、実に10年ぶりの値上げとなるのが新聞用紙だ。

■新聞用紙事業は「窮地に立たされている」

「新聞用紙の事業が窮地に立たされていることを、広く知っていただくために、このようなお知らせを公表しました」

新聞用紙値上げラッシュの口火を切ったのは、新聞用紙最大手の日本製紙。1月31日付で「新聞用紙の価格改定について」と題するニュースリリースを発表した。今年4月から、一連(4ページ分の新聞用紙1000枚)あたり100円の値上げを行うとの内容だ。値上げ幅は10年前とほぼ同じ水準とみられる。2月中旬には同2位の王子製紙、3位の大王製紙もリリースを発表して追随した。

新聞用紙は、国内紙需要の約1割を占め、単一品種としては最大の存在だ。代理店や卸商が取引に介在する他の紙製品と異なり、新聞用紙は製紙会社が新聞社に直接納入する。相対取引であるため、ニュースリリースという形で公表する必要はそれほどない。それどころか、製紙各社は新聞用紙事業について、取引内容や供給先の新聞社、価格や事業損益を公表しないのが通例だった。

しかも、供給先である新聞社は報道機関でもある。それゆえ、腫れ物にさわるような特別な存在だった。それだけに、今回のようにニュースリリースで値上げを公表するのは異例のことだ。日本製紙も「初めてではないか」という。

紙需要の減少に加え、原材料の古紙やパルプ、エネルギー代や添加する薬品代、物流費などのコスト上昇が製紙各社の経営を圧迫している。こうした状況下で、長く値段が据え置かれてきた新聞用紙も「聖域」ではなくなったわけだ。

日本製紙の新聞用紙事業の担当幹部は「事業を続けるためには、(新聞各社に)価格改定を受け入れていただかねばならない。われわれの覚悟の表れ」と振り絞るように言葉をつなぐ。

国内で新聞用紙を生産するのは、日本製紙のほか、王子ホールディングス(HD)傘下の王子製紙、大王製紙、丸住製紙、中越パルプ工業、兵庫製紙の6社に限られている。日本製紙、王子HD、大王製紙、中越パルプ工業は上場会社だが、開示資料で新聞用紙事業を印刷・情報用紙や段ボールなどと一緒の事業セグメントにしており、 新聞用紙事業の損益を開示していない。ただ、新聞購読部数は大きく落ち込んでおり、新聞用紙需要が激減していることは想像に難くない。

■新聞用紙はピーク比で3割減

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