「グーグル翻訳」が急激によくなっている理由 人工知能による予測能力が劇的に改善中

東洋経済オンライン / 2019年3月14日 7時0分

当然ながら、これはアマゾンにとってすばらしいが、あなたにとってもすばらしい。アマゾンは買い物する前に出荷してくれるのだから、万事がうまくいけば、買い物の手間はすっかり省略される。ダイアルを回して予測の精度を上げれば、アマゾンのビジネスモデルが変化して、「ショッピング・ゼン・シッピング」から「シッピング・ゼン・ショッピング(商品発送後に購入する)」へと移行するのだ。

■すでに「予測配送」の特許を取得している

もちろん買い物客は、欲しくもない商品が手元にどっさり届けられ、返品するような面倒に関わりたくない。そうなるとアマゾンは、返品のためのインフラに投資するだろう。配達用のトラックと同じものが何台も準備され、それが顧客のもとを1週間に一度巡回し、不要な商品を回収するシステムが確立されれば便利だ。

では、こちらのほうがいいビジネスモデルだとしたら、なぜアマゾンはこれまで実行に移していないのだろう。実行すれば、返品を回収して処理するコストが顧客内シェアの増加による利益を上回ってしまうからだ。今のままでは、発送した商品の95%が返品されてしまう。送られる側にとってもアマゾンにとっても、これは実に迷惑な話だ。現時点では、アマゾンが新しいモデルを採用できるほど、予測能力は高くないのである。

ただし、新しいやり方が利益につながることがある時点で見込めるようになれば、実際に予測の精度の向上が利益をもたらすようになる以前の段階でも、アマゾンが新しい戦略を採用するシナリオは想像できる。実際、アマゾンは2013年に「予測発送」の特許をアメリカで取得しているのだ。

アマゾンの例からもわかるように、AIとは予測技術にほかならない。「人工知能」といっても、知能そのものが実現するわけではないことを強調しておきたい。

いまでも予測は在庫管理や需要予測など、従来のタスクに使われ続けているが、最近では、まったく新しい問題にも予測が応用されるようになった。物体認識、言語翻訳、創薬など、AIが進歩する以前は、予測がほとんど不可能だった分野が多い。

例えば、イメージネット・チャレンジという世界的な画像認識コンテストでは、画像に写っている物体が何かを予測して競い合う。画像の中の物体を予測するタスクは、人間にとっても難しい。イメージネットのデータは1000種類ものカテゴリーに分かれ、その中には犬種をはじめよく似た画像も含まれている。チベタン・マスティフとバーニーズ・マウンテン・ドッグ、あるいは金庫のダイヤルとダイヤル錠は、識別が困難だ。人間は全体のおよそ5%で間違いを犯す。

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