大阪「ダブル選」へ、存亡かけた維新の大勝負 官邸は困惑、本命候補空振りで自公にも溝

東洋経済オンライン / 2019年3月14日 8時0分

ダブル選に関して記者会見する大阪府の松井一郎知事(左)と大阪市の吉村洋文市長(写真:時事通信)

地域政党「大阪維新の会」の仕掛けた大阪ダブル選が、4月7日投開票の統一地方選前半戦で最大の目玉に急浮上した。「大阪都構想」で2度目の住民投票実施を狙う松井一郎大阪府知事と吉村洋文大阪市長がそろって辞職。立場を入れ替えて出直し知事・市長選に出馬するという大勝負に打って出た。

松井氏は国政政党「日本維新の会」の代表でもあり、ダブル選の結果は7月の参院選での維新の消長にも直結する「まさに党の存亡をかけた戦い」(維新幹部)だ。ただ、中央政界で自民党寄りの姿勢が目立つ維新が、大阪では自民党と全面対決という「ねじれの構図」ともなるため、安倍晋三首相の政権運営や国会での憲法改正論議にも影響する可能性がある。大阪維新代表の松井知事と同政調会長の吉村市長は8日、辞職願をそれぞれ大阪の府・市両議会議長に提出した。

■「死んでも死にきれない」と松井、吉村両氏

大阪都構想実現を公約してきた松井、吉村両氏は、昨年から住民投票について公明党との折衝を続けてきた。しかし、3月7日に開かれた大阪都構想の制度案を議論する法定協議会で、投票の実施時期をめぐる維新と公明党の協議が決裂した。このため、松井、吉村両氏は「死んでも死にきれない」とダブル選実施を決断した。松井氏は記者会見で「知事選、市長選、府議選、市議選の4つの選挙で都構想の支持を得たい」と、ダブル選勝利と府市両議会での維新の単独過半数獲得を目指す考えを強調した。

松井、吉村両氏が同じ役職で当選すれば、知事、市長とも今年の11~12月に任期満了となり、再び選挙を行う必要がある。しかし、入れ替わって当選すれば任期は4年間になる。松井氏は「入れ替わりで税金の支出を抑えられる」と選挙費用の節約もアピールした。

これに対し、都構想に反対して維新と激しく対立してきた自民党大阪府連は「党利党略のダブル選」と猛反発。二階俊博幹事長が「(維新は)思い上がっている」と批判したこともあって、自民党本部とも連携して松井、吉村両氏の対立候補擁立に動き、11日に府知事選での吉村氏の対抗馬として小西禎一元府副知事の擁立を決めた。小西氏は維新の創業者の橋下徹氏が府知事の時代に府政改革を担当し、続く松井知事の下で副知事も務めた府政のエリート。大阪都構想への疑問などから副知事を退任したこともあって、自民党は「維新の弱点もよくわかっている実務家」(府連幹部)として府政奪還を目指している。

ただ、自民府連は当初、浮動層も含めた幅広い反維新勢力の結集のため、本命候補として大阪出身のタレント、辰巳琢郎氏に的を絞り、二階幹事長も乗り出して説得した。しかし、辰巳氏が「家族の同意が得られなかった」ことなどを理由に固辞したため、次善の策として小西氏擁立に切り換えたのが実情とされる。このため、自民党内には「知名度がカギとなる短期決戦だけに、辰巳氏なら勝てたが、地味な小西氏では厳しい戦いになる」との不安も広がっている。

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