「教科書が読めない」帰国子女が挑んだ受験戦争 息子の日本語力では「不利」と気づいた親は…

東洋経済オンライン / 2019年3月20日 8時10分

伊藤家の中学受験には後日談がある。祐樹くんの受験から3年後の今年、今度は次男の章くんが中学受験をした。

兄の楽しい学校生活の様子を見て、小学校の早い段階から「受験をしたい」と口にしていたという章くん。帰国から数年が経ち、受験で帰国子女枠も使えないため、新5年生クラスの始まる4年生の2月から塾生活を開始。「兄よりもしっかり者で、受験勉強を始めた頃こそ宿題などを細かくチェックしていましたが、後半は目標を決めて自分から進んで学習していたので、“やりなさい!”と私が口出しすることはありませんでした」(恵美さん)。

第一志望の都立一貫校しか眼中にないことが心配だったというが、そんな親の心配をよそに、見事にその第一志望校の合格を手にした。

息子2人の受験を振り返り、母親の恵美さんはこう話す。

「長男の受験のときは、『この1年間、お母さんは君との絆が深まった、ありがとう! 泣いたり、笑ったり、こんなにも一緒に悩んだり、考えたりできたことが幸せだった』と伝えたのですが、次男の受験を終えても同じ気持ちです。受験の結果がよくても悪くても、この言葉をかけるつもりでした」

同じお腹から生まれ、同じ環境で育ち、同じ性別の兄弟といえども、得意・不得意、性格、成熟度、そしてそのときの状況はまったくと言っていいほど同じでない。それは伊藤家に限らず、多くの家庭にも言えることかもしれない。

伊藤家の場合、兄と弟、それぞれの個性や状況を両親が丁寧に把握し、地道に寄り添うことを続けていた。もし兄の祐樹くんの受験が無理のあるものだったら、親の対応が理不尽だったら、次男の章くんが自ら受験をしたいと言い出し、最後までやりきることもなかったかもしれない。「中学受験は親の受験」とも言われるが、伊藤家はその厳しい試練を乗り越え、さらに親子の絆をしっかり深めたように感じた。

宮本 さおり:ライター

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