アメリカの「イタい黒歴史」に追随する属国日本 陰謀論やカルトを生み出す「空っぽの容器」

東洋経済オンライン / 2019年4月5日 18時0分

フリーメイソンやイルミナティなどの陰謀論や、「UFOに誘拐されたと主張する人」が出現する背景にあるものは何でしょうか(写真:danielfela/iStock)

日本人の多くが知らないアメリカ政治の現実と、社会の底流に流れる伝統を描き、全米ベストセラーとなった歴史書『ファンタジーランド 狂気と幻想のアメリカ500年史』。なぜ、アメリカ人たちが「狂気と幻想」に惹かれていくのか。なぜ、日本人はその後追いをするのか。陰謀論、反知性主義や終末思想を生み出す背景とともに解き明かす。

■「ノー・ニューヨーク」な一冊

「ニューヨークに行きたいかー!?」「オオーッ!」「どんなことをしてでも行きたいかー!?」「オオーッ!」――私が子どもの頃、『アメリカ横断ウルトラクイズ』(日本テレビ・1977年放送開始)といういい意味でイカレたクイズ番組があった。1万~2万人規模の参加者から勝ち抜いた人々が、アメリカ大陸を横断しながら約1カ月かけてクイズやゲームに挑戦するというものだ。

空からばら撒かれた問題用紙を追ってモハーヴェ砂漠を走り回ったり、サンフランシスコの街を延々走りながらクイズに答えたり。決勝進出者はヘリコプターで「自由の女神」を旋回し、ニューヨークに降り立つと星条旗デザインの帽子を被って早押しクイズに臨む。滑稽さも含めて度外れてダイナミックで熱狂的、まさにアメリカンドリームに倣った演出の数々だった。シリーズは軒並み高視聴率、番組はファミコンゲームにもなった。

高度経済成長とともに膨らんだ「アメリカすげえ!」という日本人の憧れが、お茶の間バラエティとして花開いていた頃。もし、あの浮かれた時代にこの本が出版されていたら、はたして日本人はまともに受け入れることができただろうか――『ファンタジーランド 狂気と幻想のアメリカ500年史』を読みながら、そう思った。

著者のカート・アンダーセンは風刺雑誌を立ち上げたり、トランプ大統領になりきってアメリカの内情を皮肉に描き出すパロディ本を出版するなどして人気を博す作家で、その筆致は過激なほど辛辣だ。

話はまずアメリカ建国の前段階、16世紀の宗教改革に端を発する。ルターの説いたプロテスタント思想により、「個人の自由」と「聖書に記された超自然的な物語を信じる心」を持った人々が、「伝説の黄金郷エルドラド」を夢見てアメリカ大陸に渡ったというルーツにさかのぼったアンダーセンは、「そもそもアメリカ人とは何か」という問いを解き明かしながら、地続きの物語として、現代のフェイクニュース現象、トランプ大統領登場までを洗ってゆく。

通常、アメリカ建国史の始まりとして語られるのは、故国イングランドで迫害を受け、新しいエルサレムを築くべく、理想を抱いてメイフラワー号で新大陸へとやってきたピューリタン(清教徒)ら「ピルグリム・ファーザーズ」だ。

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