アメリカの「イタい黒歴史」に追随する属国日本 陰謀論やカルトを生み出す「空っぽの容器」

東洋経済オンライン / 2019年4月5日 18時0分

だがその一方、アメリカ人は、入植者時代に培った「何もないところから事業を生み出す」という起業家精神がみなぎる人々でもあった。幻想や魔術的思考にも惑わされるが、同時にそれらをアイデアの源泉として投資を募り、事業化して売ってしまう力があるのだ。

1700年代に印刷事業で大成功したベンジャミン・フランクリンから、現代のジェフ・ベゾス、マーク・ザッカーバーグまで――もちろん彼らは有象無象の中のほんの一握りだが、その一握りの成功者を見て「自分にもできる!」と狂信できること、その狂信者に投資家が現れることは、「幻想を入れる空っぽの容器」であるアメリカの大きな強みといえるだろう。

■「幻想のプロ」アメリカが生み出したショービジネス

とりわけショービジネスは、幻想大国の真骨頂だ。ハリウッド映画、ラスベガスのカジノ、ブロードウェイミュージカル。モンスター級のスターを続々輩出するのも、アメリカがその開拓時代から幻想を生み出しては人々を熱狂させる「幻想のプロ」だったという国民性に由来すると考えれば納得がゆく。

アンダーソンによれば、アメリカのショービジネスは、古くは1870年代、西部劇の原点ともなる巡業公演『バッファロー・ビルのワイルド・ウエスト・ショー』にさかのぼる。

「バッファロー・ビル」ことウイリアム・コディは、先住民と戦闘しつつ、自分自身が主人公となって開拓劇を演じるというガンマン兼、興行師だった。この肩書自体が自由すぎてアメリカらしいが、そんなコディが作り出したショーでは、先住民が先住民役を、白人が入植者役を、そしてつい最近まで最前線で先住民を殺していたコディが、「バッファロー・ビル」役として戦いの模様を臨場感満載で再現してみせたというから凄い。

またコディは、実際の武器や、戦利品として剥いできた先住民族の頭皮なども披露するという極限まで生々しい演出も行ったようだ。現代っ子は悲鳴を上げて逃げ出しそうだが、荒くれ者ばかりだった開拓時代の大衆は大興奮したことだろう。

この、現実と幻想をカクテルにした娯楽ショーは、技術の進歩に伴って、一方では「虚実ないまぜのニュース」という混乱につながってゆくが、もう一方では、映画やアミューズメントパークなど超巨大エンタメ産業の創業へと結びついていった。ショービジネスは、まさにアメリカのお家芸なのである。

私が田舎の小学生だった頃、開園間もない東京ディズニーランドへ遊びに行った叔母が、頭にミッキーマウスの耳のカチューシャをかぶったまま帰ってきて、なりふり構わず園内の様子を聞かせてくれたことがあった。

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