アメリカの「イタい黒歴史」に追随する属国日本 陰謀論やカルトを生み出す「空っぽの容器」

東洋経済オンライン / 2019年4月5日 18時0分

『ファンタジーランド 狂気と幻想のアメリカ500年史』の下巻では、現代アメリカの病巣が次々と描かれていく。人々は「いつまでも若いままでいたい」という幻想に傾倒して美容整形に走ったり、服装や趣味嗜好が子ども化したりし、政治はショー化、あらゆる人の「個人の自由」に寛容であろうとするがために相対主義に陥り、同時に「信じたい真実」を信じる人々の中では陰謀論が蔓延。

学問、メディア、政治の世界では、堂々と異を唱えるべき専門家が敗北してゆき、もはや異なる意見を受け入れられない人ばかり、「ポスト真実」の時代へと突入――。

これを「幻想に狂ったアメリカの帰結だ」とただ傍観してはいられない。何しろ日本は「幻想に狂ったアメリカに狂った時代」を過ごした。そして現在も順調に後を追っているのではないか? さらに、GAFAをはじめとするアメリカ企業の生み出すあの手この手のファンタジーに、いまなおどっぷり浸っているところだ。

魅力的な幻想は、人を現実から引き剥がし、空中浮遊させ、ふわりふわりと快楽を味わわせてくれる。しかし、そのまま地に足をつけられない人々が増殖すれば、現実の世界は空中分解、着地する場所はなくなってしまう。何が自分たちの世界をディストピアに向かわせるのか? 本書はそれを理解する一助として読む価値があるだろう。

「ニューヨークに行きたいかー!?」「……」「どんなことをしてでも行きたいかー!?」「……そんなに」――。

泉美 木蘭:作家・ライター

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