「親の葬式をしなかった」59歳男に一生残る後悔 「葬式不要論」が合理的と断言できない理由

東洋経済オンライン / 2019年4月20日 13時0分

弊害というと言葉は悪いですが、直葬で困ったのは四十九日法要だったと田中さんは振り返ります。「何となく位牌はあったほうがいい」「やっぱり一区切りとして法要はしたほうがいいと思う」という意見は母親も含めて家族全員一致。特別に信心深いわけではないのですが、「法要、お盆、お彼岸などを通じて、亡き人へ思いを馳せるという行為はきちんと子や孫に伝えていきたい」という思いがどこかにあったのでしょう。火葬しておしまい、という形にはしたくなかったようです。

しかし、そうなると、「お坊さんはどうする?」「戒名って必要なの?」と葬儀の際に考えるべきことを、改めて考えなければいけなくなるわけです。さらに会場の手配や、親戚に声をかけるときの案内状、位牌の準備などがあり、「実は葬儀そのものよりも、葬儀後のほうが数倍も大変」だという現実に気がつくことになります。

■僧侶は「Amazon」で手配

亡き父親の実家の墓は東北の田舎町の寺院境内にあり、その寺院との付き合いはほとんどありません。そのため、東京で僧侶を探すことになりました。インターネットで探すと、僧侶派遣サービスがAmazonにあることを知ります。その費用、法事法要の手配と戒名授与で6万5000円。

僧侶の手配はAmazonで注文し、法要会場は都市部のホテルを利用することにしました。ホテルよりもリーズナブルな会場もありましたが、案内状の作成、引き物の準備、装花などそれぞれ別に手配する余裕などありませんでしたから、すべて一括で手配できるホテルを選びました。

「ホテルなので割高感はありましたが、集まった親戚20人ほどで、ゆっくりと故人をしのぶことができましたので、四十九日法要はしっかりと開催することができてよかったです」

父親が亡くなって、まもなく1年になる田中さん。一周忌を前に、遺志である「墓はいらない」という言葉に戸惑いをみせています。「墓はいらない」という遺言は、たとえ公正証書であっても効力はありません。しかし、思いを伝えるという意味で遺しておくことは可能ですし、エンディングノートなどに気軽に記しておく人もいます。

墓を持たない選択肢としては、「海洋散骨」があります。海への散骨には賛否両論ありますが、「墓地、埋葬等に関する法律」で規制されていないため、「節度をもって行う」など、それぞれの倫理感、また各自治体で出されているガイドラインの範囲内で行われているのが実情です。

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