シベリア鉄道vs一帯一路、日本企業が選ぶのは? ユーラシア大陸を横断、2つの貨物輸送ルート

東洋経済オンライン / 2019年4月22日 7時20分

シベリア鉄道を走るコンテナ列車(写真:rutin55/iStock)

ユーラシア大陸を横断する鉄道貨物輸送といえばシベリア鉄道を利用したコンテナ輸送が広く知られているが、近年では中国の注目度がにわかに高まっている。中国西部、中央アジア、欧州を結ぶ陸路は、絹などを運ぶ交易路「シルクロード」としてはるか昔から栄えてきた。現在は陸路と海路からなる中国の巨大経済圏構想「一帯一路」における陸路側の担い手として、インフラ整備が急ピッチで進む。

一方、シベリア鉄道は全土を結ぶ高速道路網が発達していないロシアにおける貨物輸送の大動脈。日本においては1970年代からアジアと欧州をつなぐ貨物輸送手段として活用されてきた。日本の港からコンテナ船でウラジオストクやボストチヌイまで運び、そこからコンテナ列車でモスクワに向かう。モスクワからは鉄道やトラックが目的地まで運ぶ。

しかし1980年代後半以降は、円高を契機とした海外生産の進展、競合する海上輸送の運賃値下げ、ソ連崩壊後の混乱といった要因から輸送量が激減。その後も回復の兆しがない。反面、中国や韓国が積極的にシベリア鉄道を活用しており、現在のシベリア鉄道における日本の存在感は大きく低下している。

■ロシアは日本の利用促進

ロシアとしては、日本発の貨物輸送量をもっと増やしたい。そこでと日本にシベリア鉄道の利用促進を求め、2012年からは日ロ両国間での協議も始まった。その過程で日本側が懸念している点も浮き彫りになった。

「輸送中の振動、温度・湿度の変化、リードタイムが長くトータルの輸送時間の予測がつかない、トランジット手続きが煩雑といった点を日本企業は心配している」と、国土交通省国際物流課の桒名亮専門官は話す。

こうした状況を受けロシア側は輸送時間を短縮したり、日本企業向けヘルプデスクを設置したりするなどの取り組みを行ってきた。そして、今後の課題を検証するために2018年8~12月に7回にわたってシベリア鉄道による貨物輸送パイロット事業が行われた。

パイロット事業には東洋トランス、日新、三菱商事ロジスティクス、日本通運などの事業者が参加。神戸港、横浜港、名古屋港など日本の港を出発し、ウラジオストクでの鉄道への積み替え作業や通関を経て、モスクワまで輸送した。列車で運ぶ輸送品目は清涼飲料水、食品、機械部品、楽器、工具など多岐にわたった。

日本の港からモスクワまでのリードタイムは最短で15日、最長で31日という結果になった。最短と最長で日数が倍近く違うのは驚きだが、これは日本の海上輸送が2日(舞鶴港発)~10日(横浜港発)、ロシアの港での積み替えや通関にかかる日数が3~17日と大きくばらついたためだ。

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