大阪で次々生まれる「新路線」は何をもたらすか 「鉄道勢力図」塗り替えへ、各社の思惑が混在

東洋経済オンライン / 2019年4月24日 7時20分

阪急がなにわ筋線構想に参画し、十三(じゅうそう)─北梅田間の路線建設を打診したのだ。

阪急の既存路線はJRや南海と線路幅が違うが、この新線は幅をそろえ、関西空港までの直通を目指すという。十三駅で乗り換えが必要だが、阪急沿線から関西空港へのアクセスは格段に向上する。

さらに、阪急は十三─新大阪間の路線敷設免許を持っている。つまり、阪急が北梅田─十三─新大阪間の路線を建設することで、南海はJRに乗り入れることなく新大阪駅へ到達できるのだ。

阪急の参画で、ますます複雑になったなにわ筋線計画。今後の展開次第では、関西の鉄道勢力図を大きく塗り替える可能性がある。

そしてもう1つ、急展開を見せている路線構想がある。大阪メトロ中央線の延伸だ。終点のコスモスクエア駅から夢洲(ゆめしま)駅まで延ばす。

夢洲は、大阪府や大阪市が目指していた2008年大阪五輪の会場として整備が進行。中央線の延伸が計画され、道路と線路が一体構造の「夢咲トンネル」建設が進められた。

だが、五輪招致の失敗を受けて延伸計画は凍結され、トンネルは道路部分のみが開通。線路が敷かれることはなく、長い眠りに就くこととなった。

事態は昨年11月に急変した。2025年の万博(国際博覧会)開催地が大阪・夢洲に決まったからだ。

前述のとおり、工事の最難関であるトンネル部分はすでに完成しているため、技術面での大きなハードルはない。万博開催までの開通は十分に可能だろう。

一方で、経営面では大きな懸念がある。万博の開催期間中は多くの利用が想定されるものの、閉幕後にどれだけの利用があるのか、現時点ではまったく見通しが立たないのである。

夢洲の土地利用はほとんど進んでおらず、このままでは万博終了後の“惨状”が容易に想像できる。夢洲には、カジノを中心としたIR(統合型リゾート)誘致を大阪府と大阪市が進めているが、その先行きも不透明だ。

とはいえ、万博開催が決定した今、中央線の延伸は、ほぼ決まったようなものである。そこで、大阪メトロは夢洲地区の開発に乗り出すことを発表した。

自ら需要を生み出そうというわけだ。1000億円を投資して高さ275メートルの高層タワーを建設するという。かつて大阪市が開発に失敗したWTCタワーを思い出させる計画だ。これまで大規模開発を経験したことのない大阪メトロにとって、かなりリスキーであることは否めない。

■JRや京阪、近鉄にも動き

一方、夢洲への交通アクセスをめぐっては、ほかの鉄道事業者も動きを見せている。JRは以前から桜島から夢洲への延伸構想を持っており、IR誘致の動きをにらみつつ検討を進めている。

また、京阪は中之島─大阪メトロ九条─西九条というルートを検討中だ。九条で中央線から京阪に乗り換えれば、伏見稲荷をはじめとする京都の観光地へアクセスできるようになる。

さらに近鉄がけいはんな線の線路を生駒駅で奈良線とつなぎ、奈良や伊勢志摩方面から夢洲への直通特急を走らせるよう検討していることも明らかになった。

インバウンドの好調を追い風に進み出したなにわ筋線と、大阪万博の開催決定で一気に現実味を帯びた夢洲への延伸。しばらく関西の鉄道情勢から目が離せない。

伊原 薫:鉄道ライター

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