プーチン-金正恩会談に透けるトランプの思惑 北朝鮮の「核の横流し」阻止で米露は一致

東洋経済オンライン / 2019年4月30日 11時20分

金正恩氏がロシアを初訪問し、プーチン大統領と会談した(写真:代表撮影/ロイター/アフロ)

北朝鮮の金正恩労働党委員長は4月25日、ロシア極東のウラジオストクで、ロシアのウラジミール・プーチン大統領との初の首脳会談に臨んだ。ロシアはイギリスとともに世界の外交大国であると、筆者は学んだが、今回、ロシアはその外交力を世界に示したと見ている。

ロシアには2つの視座がある。1つは短期的に朝鮮半島情勢の安定化に寄与すること。もう1つは長期的に朝鮮半島に地政学的な影響力を行使することである。今回の露朝首脳会談でロシアは、その下地を作ったと言っていい。

■アメリカがヒル特別補佐官をロシアに派遣したワケ

アメリカのドナルド・トランプ大統領は、この点について的確に予測していたのではないか。昨年秋、北朝鮮担当の大統領特使にロシア経験豊かなスティーブン・ビーガン氏を指名し、その先見性を見せつけたが、今回は、露朝首脳会談の8日前に、フィオーナ・ヒル大統領特別補佐官を、ロシアの大統領府クレムリンに送り込んでいる。

ヒル特別補佐官は、プーチン大統領のスタッフ・アドバイザーたちと会談した。ロシア側の外交アドバイザーがメディアに語ったところによると、ロシアとしては、トランプ大統領と金正恩委員長との2回の米朝首脳会談による流れを整理したうえで、今回の露朝首脳会談に臨むと語ったという。それは、目下、最も「プーチン大統領通」と目されるヒル特別補佐官を通じて、トランプ大統領のメッセージがプーチン大統領に明快に伝わっていることを意味する。

今回の露朝首脳会談は、表面上、ハノイでの米朝首脳会談の決裂を受けて、金正恩委員長がプーチン大統領の招待に応じた形になっている。しかし、実際には、トランプ大統領とのハノイ会談が期待通りには進まなかった場合を想定して、初の露朝首脳会談に応じる用意があったというメディア報道もあり、北朝鮮としては、計画的なスケジュールだったのかもしれない。

ただ今後、時間が経てば経つほど、トランプ大統領とプーチン大統領がある点で意見が一致していることに金正恩氏が気づいて、愕然とするのではないか。米露両国は、「核の横流し」に対する嫌悪感で一致しているからである。

ロシアは、故金日成国家主席以来、金家にとって縁の深い国である。しかし、核兵器を持つことでアメリカに北朝鮮を警戒させる軍事・政治戦略について、ロシアはアメリカと同様、認めるわけにはいかない。 

■米露とも北朝鮮の「核の横流し」を阻止する

最近、アメリカのシンクタンクの分析専門家による「金正恩委員長は、10代の若者のような交渉をする」という指摘が、CNNテレビで報じられ、全米の注目を集めた。その若い金正恩委員長が学生としてスイスで過ごした経験があることを、トランプ大統領は知っている。大統領に就任する以前から、トランプ氏は金委員長と会談することを大いに楽しみにしていた。

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