日清製粉、パンの本場で見せた粉へのこだわり 海外の和食ブームも追い風、増産にアクセル

東洋経済オンライン / 2019年5月7日 7時0分

日清製粉グループが今年4月に買収したアライド・ピナクル社はオーストラリア最大級の製粉会社。プレミックスやベーカリーの原材料に強いところもシナジーが追求できそう(写真:日清製粉グループ本社)

「和食」がユネスコ無形文化遺産に登録されてから5年余り。海外で広がる和食ブームを追い風に、日本の食品メーカーの海外売上高比率がジワジワ上昇している。

例えば、しょうゆトップのキッコーマンの海外売上高比率は、2003年3月期の22%から徐々に高まり、直近(2018年3月期)では59%と、5割を突破している。利益ベースでは、連結営業利益の71%を海外で稼ぐほど、その存在感を強めている。

海外進出した初期には、和食になじみのない人々に対し、しょうゆをいかに広げたらいいか、手を焼いたらしい。そのとき使ったのがにおいだ。しょうゆとみりん、酒を混ぜた照り焼きソースに肉を漬け込み、肉をスーパーの店頭で焼いた。肉の焼ける香ばしいにおいが人々の食欲を刺激。しょうゆの普及を進めたという逸話が残っている。

■オーストラリア最大の製粉会社を買った

実は製粉業界も、和食ブームを追い風に海外で成長を続けている。国内トップの日清製粉グループ本社は、今年1月、海外の小麦生産能力がついに国内を上回った。アメリカのサギノー工場(テキサス州)の能力増強によって、海外の小麦粉生産能力が1日当たり8660t(原料小麦ベース、以下同)になり、国内の同8100tを凌駕した。

さらに今年4月にはオーストラリア最大製粉会社(でんぷん製造用など産業用途を除く)、アライド・ピナクル社を459億円で買収。これで、日清製粉グループの海外小麦粉生産能力は同1万2160tとなり、海外が国内の1.5倍もの生産能力を持つようになったのだ。

日清製粉グループ全体で見た場合、国内ではコンビニ向けの中食・総菜事業が成長しているため、連結決算における海外売上高比率は18%しかない(2018年3月期)。ただし、製粉事業だけを取り出してみると、前述のように生産能力ではすでに海外が国内を上回り、金額ベースでも海外売上高比率は4割を超えている。海外事業を統括する小池政志取締役は「海外での展開は新たなステージに移った」と見通す。

日清製粉グループの海外事業は、買収に次ぐ買収によって成長してきた。カナダ、アメリカ、ニュージーランド、オーストラリアで、現地企業の買収と工場取得を繰り返してきたのである。これらの国は言わずと知れた世界的な小麦生産地で、いわば小麦文化の本場。そこにどうやって日本の製粉会社が乗り込んでいったのか。

実はそのカギは、身近なところにあった。日清製粉グループが製粉事業で初めて海外進出したのは、1989年、カナダ西海岸にあるロジャーズ・フーズの買収だった。

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