日本のイメージが世界で改善し続けている事情 安倍政権が試みる広報戦略の強みと弱み

東洋経済オンライン / 2019年5月8日 7時30分

世界的に日本のプレゼンスが増しているのには、それなりの事情がある(写真:Franck Robichon/Pool via Reuters)

「広報」「PR(パブリック・リレーションズ)」「宣伝」、そして、「プロパガンダ」。これらの意味をそれぞれ説明できるだろうか? 広報とPRを同一とする人もいるだろう。また、宣伝とはもともと、政治宣伝を意味するプロパガンダ(propaganda)の訳語として生まれたものでもある。しかし、それぞれに微妙なニュアンスの差があるのだ。

広報とは、広く(=社会に対して)報じる(=知らせる)という意味であり、組織などが社会に対して情報発信することである。一方、PRとは、組織などが大衆に対してイメージや事業について伝播したり理解を得たりする活動を指す。宣伝は、最近では商業宣伝を意味することが多い。そして、プロパガンダとは、国家などが個人や集団に働きかけることで政治的主義・主張を宣伝し、意図する方向へ世論を誘導・操作する行為を指す。

■相手国の世論に直接働きかける

ニュアンスが少しずつ違うとはいえ、これらはすべて、社会に働きかけ、あるイメージを与え、世論に何らかの影響を与える行為を意味するという点に鑑みれば、すべて表裏一体である。

とりわけ、プロパガンダについては、「世論戦」や「情報戦」ともいわれ、冷戦などのイメージが強く、今の時代にそぐわないと時代遅れだと捉える人も多いだろう。だが、プロパガンダは決して時代遅れなどではない。

むしろ、世界では、従来の政府対政府の外交ではなく、相手国の世論に直接働きかけ、まずは世論を味方につける、という外交戦略が当たり前の時代になっている。アメリカを始め、イギリス、フランス、そして中国を中心に、巨額の国家予算を投じて、海外の世論作りに励んでいる。

そして日本も、第二次安倍政権の下、こうした、イメージを発信するという外交の流れに遅ればせながら参入し、ここ数年の間、毎年約800億円規模という巨額の資金を投じ始めた。従来の対外発信予算に比較すれば、4倍近くの伸びである。

政府が海外の世論に直接働きかけ、海外の世論を自国の味方につける。こうした外交手法を、「パブリック・ディプロマシー(PD)」という。政策広報、文化、人的交流などのソフト・パワーを用いて、世論に直接働きかけることで、自国の外交および国益に資する活動を意味する。日本では、外務省が中枢的役割を担っており、「広報文化外交」といわれている。

世界中のPDが展開されるアメリカは、「PDの主戦場」とも呼ばれており、もちろん日本も最も力を入れている国の一つであるが、そのアメリカにおける日本のPDに対する評価は、かなり分かれる。高評価がある一方、領土や歴史認識の問題を始め、先の韓国による自衛隊哨戒機へのレーダー照射問題が歴史問題に絡めて報じられたのに見るように、「中国や韓国に押され気味だ」といったような評価もある。

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング