アメリカと関係急悪化、「イラン戦争」の現実味 ホルムズ海峡封鎖の可能性も浮上

東洋経済オンライン / 2019年5月16日 7時30分

アメリカとイランを中心とした中東での舌戦や軍事力増強の動きが進んでいる(写真:Leonhard Foeger/ロイター)

世界経済を揺るがす米中貿易戦争と同時に、アメリカとイランを中心とした中東での大戦争に発展しかねない舌戦や軍事力増強の動きが進んでいる。

アメリカのドナルド・トランプ大統領は、イランに対する原油全面禁輸という経済制裁の強化に加え、空母打撃群や爆撃機を中東に派遣。ニューヨーク・タイムズ紙は13日、イランがアメリカ軍を攻撃した場合に備え、アメリカ兵最大12万人を中東に派遣する計画が安全保障関連の会合で議論されたと報じた。

■合意の抑止力がないとみたトランプ大統領

これに対してイランは、世界一の石油輸送の大動脈であるホルムズ海峡を封鎖する可能性を警告、中東産の原油に依存する日本にも深刻な影響を与えるおそれが出てきた。ホルムズ海峡近くのアラブ首長国連邦(UAE)東部フジャイラ沖の排他的経済水域(EEZ)で12日朝、サウジアラビア船籍の石油タンカー2隻など計4隻が攻撃を受け、船体に損傷を受けた。アメリカ側からは、イランやその影響下にある勢力の仕業との見方も浮上している。

緊張激化の主な発端は、アメリカ政府が4月22日、昨年11月に再発動したイラン産原油禁輸に対する制裁に関して、原油価格の上昇を抑える措置として導入した日本など8カ国・地域に認めた適用除外期限を延長せず、全面禁輸を目指したことだ。

トランプ政権は、オバマ前政権下で締結された2015年の核合意から2018年5月に離脱。オバマ前大統領の政策をことごとくひっくり返しているトランプ大統領は、合意が核兵器開発やミサイル開発、テロ支援といったイランの行動を抑制していないとの立場だ。今年4月には、イランの精鋭部隊である革命防衛隊を「外国テロ組織」に指定した。

トランプ大統領によるイランへの圧力強化の狙いは、欠陥だらけとする核合意について、再交渉の席にイランを着かせることだろう。「アメリカ・ファースト」を掲げるトランプ氏は、アフガニスタンやシリアなどの中東に対する関与を縮小させ、財政やアメリカ軍の負担軽減を進めている。北朝鮮のようにイランがアメリカ本土に到達するような核兵器・ミサイルを持つという直接的な脅威は今のところ存在せず、イランに対する主戦論を展開しているわけではない。

こうした中で、トランプ大統領としても看過できない情報がイスラエルから提供された。イスラエル・メディアによると、同国の対外情報機関「モサド」は4月、ホワイトハウスに対して中東のアメリカや同盟国の権益に対する攻撃をイランが画策していると伝えた。

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