ルネサス、7年ぶり赤字転落でたどる「茨の道」 財務悪化と幹部交代で競争力も失いつつある

東洋経済オンライン / 2019年5月18日 8時0分

これら一連のエピソードが意味するのは、ルネサスの競争力の低下だ。

変化の激しい半導体産業で各社がしのぎを削るのは、自動運転や人工知能(AI)といった最先端技術だ。ルネサスも世界トップ級のシェアを誇る自動車向けマイコンや、得意とする省電力化の技術を売りに「R-car」という集積回路を開発。自動車メーカー向けに攻勢をかけてきた。産業機械向けにも、低電力、低コストで耐久性に優れた特定用途向けの「e-AI」を持つ。

■しぼむ最先端の製品開発

これらは顧客の要求に対して仕様を変えたり、ニーズを先回りして提案したりする柔軟性が求められるほか、研究開発に多くの資金と時間が必要になる。うまく開発できれば利益率の高い製品となり、将来の事業の柱にもなり得る。2014年のリストラ時に会長だった作田久男氏は当時の東洋経済のインタビューで、「R&D(研究開発)に集中することで強い商品を作り、納得のできる粗利を出していきたい」と語っていた。

しかし、現在R-carやe-AIといった戦略は急速にしぼみつつあるのが現状だ。2018年は自動運転のデモカーをアメリカ・ラスベガスの家電見本市「CES」に出展するなどして話題を集めたが、2019年の出展はなし。際だった進化を示せなかったからとの説明だが、2019年のCESには自動車関連の出展も目立ち、存在感を示すせっかくの機会を逃した格好だ。

また、肝心の研究開発費も思うように捻出できていない。ルネサスは今春、約1000人の希望退職者を募るなど、一層の固定費抑制に動いているが、研究開発費もそのあおりを食う形で増やせない状況が続いている。関係者によると、R-carなど新製品開発の動きは止まってはいないものの鈍くなっているという。

一層の研究開発費の減少と開発スピードの鈍化も見込まれる。実際、これらの先進技術の開発に取り組んでいた幹部が相次いでその職を去っている。

そうなると、商品力の一層の低下は否めない。ルネサスの製品を扱うある特約店は、今年度のルネサス製品のデザインイン(取引先に製品を採用してもらうこと)の目標額を前年度から15%ほど引き下げている。新しい仕様の製品が実際に売り上げにつながるには数年かかるが、新製品の採用が細ると言うことは将来的な成長が見込めないことを意味している。

足元でも、「ルネサスの商品は値上げがあったり、リストラで取扱商品が急になくなったりして扱いづらくなった」という声も漏れ伝わる。実際にライバル企業が順調に業績を伸ばしている一方で、2018年12月期にルネサスは減収減益に沈んでおり、影響はすでに出始めている。

■多額の減損処理を強いられる可能性も

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