「前に出ないと気が済まない」上司の危うい思考 イエスや老子から学ぶリーダーに必要な素質

東洋経済オンライン / 2019年5月23日 8時20分

あなたの会社は「従業員ファースト」でしょうか?(写真:kikuo/PIXTA)

「リーダーシップ論」の歴史は古く、さかのぼればイエス・キリストや老子の時代からこのテーマは論じられてきました。

時代が進んでさまざまなリーダー論が提唱される中、最も古くから「信頼を集める」として説かれるのが「サーバント・リーダーシップ」だと、『スタンフォード式 最高のリーダーシップ』の著者、スティーヴン・マーフィ重松氏は言います。

スタンフォード大学の心理学者としてリーダー論の講義を受け持ち、古今東西の文献にあたった同氏が、古代から説かれる「求心力あるリーダーが備える素質」について解説します。

「サーバント・リーダーシップ」の提唱者として知られる組織研究者のロバード・K・グリーンリーフ(1904~1990年)は、マサチューセッツ工科大学(MIT)やハーバードビジネススクールで教鞭を執った人物です。

彼が説いた「サーバント・リーダーシップと」は「奉仕の心」です。「従業員ファースト」で部下を優先し、リーダーが奉仕することで部下を成長させる。つまり、リーダーが前に出るのではなく、チームメンバーの背中を押すことで成果を上げるタイプのリーダーが、全米トップ大学で「求心力あるリーダー」として教えられているのです。

■「顧客ファースト」が徹底される日本

日本は、「奉仕の心」が根付いているとされています。確かにサービス業の「顧客ファースト」は大変素晴らしいものがありますが、「あなたの会社では『従業員ファースト』が徹底されているか」と問われると、疑問が残る人も多いのではないでしょうか?

「serve(サーブ)」は奉仕を意味する英単語で、聖書でも重要な単語として扱われています。私自身、子供の頃にカトリックの教会で「イエス・キリストは人々に奉仕するために来た」と教わりました。

新約聖書にこんな話があります。「弟子の中で誰がいちばん偉いか」を争っている弟子たちの姿を見たイエスが、こう諭しました。

「あなた方の間で偉くなりたいと思う者は、皆に仕える者になりなさい。あなた方の間でいちばん上になりたいと思う者は、皆のしもべになりなさい」

最後の晩餐の前には、イエス自身が「皆に仕える者」であることを示すように、弟子たちの足を洗ったそうです。

これはキリスト教に限った話ではなく、東洋文化に大きな影響を与えた中国の思想家・老子も「人の上に立とうと思うなら、謙虚な気持ちでへりくだりなさい」と述べています。

さらに「理想の指導者とは、みんなに『率いている』と感じさせない人だ」という言葉も残しており、「リーダーたるもの、一歩下がって援護に回り、部下を前に出して主体的に取り組ませなさい。部下が上司にリードされたことに気がつかず、『自分でやり遂げた』と思えるくらい、自然にリードしなさい」と解釈されています。

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