中田敦彦はなぜテレビの仕事を減らしたのか 芸能事務所に頼らないタレントが増えていく

東洋経済オンライン / 2019年5月24日 7時0分

そのからくりは簡単。楽曲は1ダウンロードすると250円。日本の今の音楽配信市場だと、40万ダウンロードいけば年間ランキング1位になる。そして250円のうちアーティストの印税は3%、作詞の印税が3%。僕らが6人組なので1人当たりに換算すると1%。だから40万ダウンロードされても、250×40万×1%で1人100万円しか懐には入らない。

音楽業界はCDが駆逐されつつあり、売り方が「ビックリマンチョコ化」している。つまり、リスナーはチョコが欲しいわけではなく、ビックリマンシールが欲しいからCDを買う。アイドルの握手会参加券つきのCDがまさにそれ。それだけ音楽だけでマネタイズするのは厳しい。だから音楽活動ではなく、アパレルとかオンラインサロンに目が向いた。

――目標はつねに変化させてきたのか。

振り返ると僕はこれまでも、それぞれの時期でリスクをとって、リターンを最大化しようとしてきた。芸能界に入ったのも、学生時代に証券会社とか大企業が潰れるのを目の当たりにしたことが大きい。時代は変わるものだと実感し、それならやりたいことをやろうと、好きだったお笑いの世界に飛び込んだ。

当時、自分の父親の世界観だと、銀行や保険会社などの安定した就職先に進むのが当然だった。その価値観から離れられたのは、ものすごく調べたから。例えば弁護士についても調べて、法科大学院ができて、弁護士が増えていく時代になるとわかったが、そこで大手の法律事務所に入るべきか、独立すべきかなどと調べていくと、次第にやりたいことと違うと思った。官僚についても一生懸命に調べて、何かが違うと思った。

今となっては、タレントもほかの職業と同じような変化にさらされているだけだと思う。その変化にどう対応すべきかという点で、タレントと会社員、専門職には共通点が多い。

■会社員はいろんな分野に足を突っこめ

――職種を超えて当てはまる共通点とは。

これからの時代は、より希少性が求められるということだ。そして異分野を掛け合わせることで、希少性はより高まる。

1つの分野、例えばお笑いの世界だけで戦ったら、ものすごく熾烈な競争環境だが、お笑いの経験がある人がよそのジャンルに行けば、非常にありがたがられたりする。

僕も今アパレルをやっているが、アパレルの社長でお笑いできる人なんていないし、それが売りにもなる。だから会社員も、いろんなジャンルに少しずつ足を突っこんだらいい。何が当たるかはわからないが、ヒットの確率は高まると思う。

何と言っても会社員の強みは、よほど経営が悪くならないかぎり、クビになりにくいこと。だから会社は辞めないで、こそこそと経営を始めるといい。無駄な仕事はなるべくさぼって時間をつくり、自分の希少性を生かせるビジネスを始めてみてはどうか。

許斐 健太:東洋経済 記者

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