日本人が大好きなアボカド生産農家を襲う危険 カルテルの暗躍がもたらす環境悪化

東洋経済オンライン / 2019年5月25日 8時0分

レムス氏によると、ミチョアカン州でがん患者が増え始めたのは2011年からで、それはカルテルがアボカドの生産に目をつけて侵入して来た時期と重なる。特に、ロス・カバリェロス・テンプラリオスがアボカドの生産のコントロールに干渉するようになった2014年から2016年にはがん患者が急激に増えたようだ。

自身もカルテルに3年間拘束された経験を持つレムス氏は、実際にがんに罹患(りかん)した子どもを持つ家族に取材。例えば、マリア・グアダルーペの子どもルベン(7歳)とファン・カルロス(9歳)は、それぞれ白血病と肺がんと診断されたという。彼女がアボカドの栽培の仕事に従事している間は、夫のぺぺが病院で子どもの看護にあたっているほか、彼女の母親と妹も看護の手助けをしている状態だ。

マリアは、「ロス・カバリェロス(テンプラリオス)は、私を殺してはいないが、私に死をもたらした」と、重病の2人の子どものことを思い浮かべて涙ながら語っている。「死の瀬戸際にいる2人の子どもを看護せばならないという罪を償わねばならないほどのことを私はこれまでした覚えない」と語りながらも、彼女は神に感謝しているという。なぜなら「私が健康であるということで子どもたちを看護できるからだ」。

■アボカド畑で働くのは多くが日雇い労働者

同じように、ホセ・ルイスの子ども(12歳)も5カ月前にがんと診断され、医者からは回復の見込みはほとんどないと言われている。子どもはカルテルでなく武装グループによって連れだされ、1年間わずか35ペソ(200円)の報酬でアボカドへの農薬噴射のために働かされた後解放されたが、そのときすでに罹患していたそうだ。

メキシコ保健局によると、ミチョアカン州でアボカドの生産に従事している自治体でがんと診断された子どもは昨年だけで42人に上る。アボカド畑で働く人たちは日雇い労働者が多く、身体の安全への保証は一切なく農薬を噴霧する仕事に従事させられているという。彼らの90%は社会保健のサービスなど享受していない。

一時はカルテルから身を守るための自警団も誕生し、サルバドル・エスカランテなど2つの自治体では、犯罪組織が駆逐された。しかし、その2年後にはその監視が緩まったため、その隙を狙ってカルテルが再び権力を持つようになった。一方、タンシタロ自治体の場合は、4年前に生産農家と販売業者が自警団に給料を払ってカルテルからの侵入を防いでいるという例もある。

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