乗らずに歩いて…「鉄道事業者」鞍馬寺の願い 全国で唯一、「御寄進票」が運賃の代わり

東洋経済オンライン / 2019年5月26日 7時30分

鞍馬寺ケーブルカーは延長202m。全長6mの小さな車体が、2018年の台風の傷跡が残る鞍馬山を行き来している(筆者撮影)

この5年、京都観光の新スポットとして注目されているのが、洛北にある鞍馬(くらま)地区だ。トリップアドバイザーの京都市観光ランキングで鞍馬山が12位、貴船神社が20位。叡山(えいざん)電鉄鞍馬駅で下車して、鞍馬寺を訪れ、奥の院から山道を下って貴船(きふね)神社に立ち寄り、貴船口駅へ向かうルートをたどる。

鞍馬寺は牛若丸こと源義経が修行をした地で、650万年前に護法魔王尊(鞍馬天狗)が金星から降臨した伝説がある。京都の水神をまつる貴船神社と共に、パワースポットとして人気を集めている。

鞍馬寺は、山上にある本堂への移動手段として、ケーブルカー「鞍馬山鋼索鉄道」を運行している。全長6mの車両が行き来するミニ鉄道だが、JRや私鉄と同様、国土交通省から鉄道事業許可を受けている。宗教法人が運営している国内唯一の事例で、路線延長207mと日本最短の鉄道でもある。

筆者は以前、旅行雑誌の取材で訪れたとき、信楽香仁(しがらきこうにん)貫主(かんす)から「できれば、ケーブルカーに乗らないで、山を散策しながらお越しいただきたいですね」と説明を受けた。

利用者が減ると、当然、採算は苦しくなる。鉄道事業者としては異質の方向性を示している考え方を知りたくて、鞍馬寺へ向かった。

■全長6mのミニ車両

5月10日、京阪電鉄の終点の出町柳駅で叡山(えいざん)電鉄に乗り換えて鞍馬へ向かった。

叡電自慢の観光列車「きらら」。移りゆく車窓を楽しむためクロスシートが採用され、一部が窓側へ向けて配置されているのが特長だ。

10連休直後の平日にもかかわらず、観光客でほとんどの席は埋まっている。欧米系の個人客も十数人いた。中国、台湾などインバウンド利用も好調という。

市原駅の先で橋梁を渡ると、「きらら」は時速20㎞ほどに減速する。市原―二ノ瀬間250mを「もみじのトンネル」と呼び、新緑の時期に徐行運転して280本のモミジの若葉を堪能してもらう。

「青もみじ」は夏の京都観光のトレンドとなっている。叡電は2014年から観光資源として前面に打ち出し、5月の観光利用は約7割増えた。徐行運転は5月31日で終わるが、7月から夜間の「青もみじ七夕ライトアップ」が始まる。

終点の鞍馬駅から徒歩3分、鞍馬寺の山門を潜ると、毘沙門天像のある普明殿がある。ここの2階が鞍馬寺ケーブルカー山門駅の乗り場となる。

自販機で200円を払うと、「御寄進票」が発券される。運賃代わりの乗車整理券的な位置づけで、宗教法人運営の鉄道ならではの表現だ。

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