日本の車載電池メーカーは世界市場で勝てるか 韓国勢の投資額が突出、カギはコスト低減

東洋経済オンライン / 2019年6月4日 7時40分

前述した温度環境に対するタフさも同様に求められる。材料の耐久性開発のみならず、電池の冷却システムも必要となる。電池パックシステム開発に関わる自動車メーカーにとって、いかに効率の良いシステムを設計開発できるかが自動車メーカーの付加価値となる(大半の自動車メーカーは自社で冷却システムを開発している)。

アメリカ・テスラ社のEV「モデルS」や「モデルX」「モデル3」ではモバイル用LIBを搭載する設計開発となっている。ただし、この場合、耐久性は車載専用に開発されているLIBと比較すると寿命確保の点で劣っており、途中でのLIB交換も必要となるケースが生じてくる。

■課題は電池の安全性確保

EVベンチャーは別にして、世界の大手ブランド自動車メーカーが、このような小型モバイル用途のLIBを搭載するビジネスモデルをとる気配はない。むしろ、専用開発で差別化、付加価値を追求する路線を拡大中だ。

また、安全性の確保も課題になっている。モバイル用LIB対して、20~30倍ほどの容量があるEV用LIB(50~100Ah)では、充放電時に伴う電池の膨張収縮(リチウムイオンが充電時には負極へ、放電時には正極に移動する。充電時に負極側で膨張することにより電池セルが膨張しやすくなる現象)も大きくなる。同時に、電池の発熱も大きくなることで、熱暴走を起こしやすくなる条件が増える。ましてや、充放電の制御機構が故障すれば危険性は一段と増す。

中国市場では、中国メーカーEVの火災事故が多発している。他には2019年4月に、テスラが上海で停止中に爆発火災事故を起こしている。2013年から続いているテスラの火災事故であるが、結局、テスラのEV開発も、入念なLIB制御やEV制御ができていないことを証明している格好だ。しかし、これまでの火災事故の詳細な原因が明らかにされていないことは、製造物責任を果たしているとは言えない。

その点、日系のEVやハイブリッド車(HEV)、プラグインハイブリッド車(PHEV)、そしてトヨタとホンダが市販している燃料電池車(FCV)のいずれにおいても、公道での火災事故は1件も発生していない。それは、開発段階からLIBの信頼性を確立し、自動車の電動化における統合制御で確かな安全性制御技術の開発を最優先しているからにほかならない。

LIBの開発要件や基準も各社まちまちな中、中国のEVやEVバス、そしてテスラのEVに偏在する火災事故に対しては、安全性と信頼性を担保できる技術開発が早急に求められている。

■中国は独自に安全性の規格を導入

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