「築地場外」が直面するブランド存続の危機感 豊洲移転から7カ月、市場はどう存続するのか

東洋経済オンライン / 2019年6月5日 6時50分

築地場内市場の豊洲移転から早7カ月が過ぎました。今の築地場外市場はどのようになっているのでしょうか(写真:Ryozo/PIXTA)

築地場外市場の朝は早い。人の動きが活発化する5時に合わせ、店主たちは開店準備を進める。夜明け前から多くの業者が集まり、飲食店などもそれに合わせて営業を開始するのだ。早朝から閉店の14時、15時頃までその活気は続く。この光景は80年以上続いてきた築地の日常でもある。

2018年10月。旧築地市場84年の歴史が幕を閉じた。東京都最大の中央卸売市場であった市場が閉鎖し、豊洲市場への移転からすでに7カ月が経過した。旧築地市場は約480種類の水産物、約270種類の青果物を取り扱うなど世界でも最大規模を誇っていた。

改めて書き記すこともはばかられるが、場内と場外はこれまで共存共栄のバランスのもとに成り立ってきた。東京以外の人は意外と知らない事実だが、場内が移転した後も場外市場の商店は変わらず営業を続けている。だが、場内なき今、そのバランスの崩壊を嘆く声が聞こえてくるのだ。強い危機感と急激な変化。彼らの声は、現在の築地が置かれた状況を知る成分としては十分な説得力がある。

■築地場内移転はいったい誰が得をしたのか?

「市場移転後の築地はまったく別の街に変貌した。端的にいえば、朝に人がいなくなったね。もともと5~10時までの間は東京中の多くの業者さんや職人たちが街を訪れていたが、それがピタッとなくなった。逆にいえば、10時以降の観光客の数はほとんど変わらないから皮肉だよね。今は観光客のおかげで何とか売り上げがたっているけど、少しずつ先細りしていくことは目に見えている。つまり、市場が閉鎖した分が単純に引き算になっているということ」(場外の水産企業関係者)

場外のある魚河岸に出店する老舗水産企業の関係者は、嘆きともとれる言葉で訴えかける。

「場内が移転したことで、いったい誰が得したんでしょうか? 豊洲に移転後、売り上げが伸びず苦しんでいる店舗が大半です。実際にウチは2割以上減りましたし、築地に残った店舗に関しては4割以上落ちたという声も聞きます。私からすれば、決して観光客や都民が得をしたとも思えないんですよ。市場が移ることで、お客様が減ることは目に見えていた。それは想定の範囲内です。

ただ、想定外だったのは、市場が豊洲に移ったことで世間から見た築地の食材=新鮮でいいもの、というイメージすら変わってしまいつつあること。豊洲の魚を築地で売っているだけで、何ら変わってないんですけどね。いかに築地の文化と伝統を守っていくかに頭を悩ませているお店は多いですし、何かしら変わらないといけない時期に直面しているのは間違いない。ただ、何から手を入れるべきなのかという答えは出ていません」

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