「風は気まぐれ」、安倍首相は解散に踏み切るか 党内引き締め?それとも4選狙いの大勝負?

東洋経済オンライン / 2019年6月6日 7時50分

5月30日、経団連総会であいさつをする安倍首相(写真:時事通信)

通常国会は会期末まであと3週間となった。与野党問わず全国会議員が神経をとがらせるのは夏の衆参同日選につながる解散風の行方だ。唯一人「伝家の宝刀」を抜く権利を持つ安倍晋三首相は「風は気まぐれ」などと意味ありげに語って議員心理をかき乱している。

最大のポイントは6月19日に開催予定の党首討論から26日の会期末までの「緊迫の1週間に何が起こるか」(自民若手)。「解散があるのかないのかで、政界全体が揺れ動くこと自体が首相の手練手管」(自民長老)との声も広がっている。

■計算ずくで「解散風」に触れる

10連休の前後から吹き始めた解散風は、永田町に疑心暗鬼を広げてきた。そうした中、満を持していたかのように安倍首相が「風」に言及したのは5月30日の経団連定時総会だった。あいさつに立った安倍首相は「『(解散)風』という言葉には今、永田町も大変敏感だ。1つだけ言えることは、風というものは気まぐれで、誰かがコントロールできるようなものではない」といたずらっぽい笑顔で会場を見回した。

4月の訪米時のトランプ大統領とのゴルフ対決が「ボールが勝手に転がり出すくらい強い風」だったのに、5月の大統領訪日時のプレーでは「風があまりなかった」としたうえで、永田町の「解散風」に触れた。メモを見ながらのあいさつだっただけに、同席者の多くは「政界の反応も含めての計算ずくの発言」(財界首脳)と受け止めた。

同日午後の記者会見で菅義偉官房長官は、こちらも意味ありげな笑みを浮かべて「無風ではないか」と語り、与党内では「首相と官房長官が役割分担して解散風をあおっている」(岸田派幹部)との声が広がった。このため、同日選に反対する公明党の斉藤鉄夫幹事長は31日の記者会見で「今回の風が過去の例から考えても強いとは感じていない」と沈静化に躍起となった。

一方、立憲民主党などの主要野党には緊張感がみなぎった。立憲民主党の枝野幸男代表は31日の記者会見で、「安倍さんは解散するという前提ですべてを組み立てている」と指摘し、同日選を前提に選挙準備を急ぐ考えを示した。また、共産党の笠井亮政策委員長は「首相が解散をもてあそぶ態度は許されない」と批判しつつ、野党の選挙共闘構築の重要性を強調した。

「首相は、解散と公定歩合については嘘をついてもいい」というのが政界の定説だ。ただ、これまで「(解散は)頭の片隅にもない」と繰り返してきた安倍首相がこのタイミングであえて解散風に言及したのは、「野党の反応を探るための観測気球」(自民幹部)と見る向きが多い。

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