インドネシア版「Suica」はQR決済に勝てるか 都市鉄道網拡大でICカード普及、今後は?

東洋経済オンライン / 2019年6月9日 7時30分

MRTJの自動改札機。日本のようにゲートが開いたままだが、乗客はカードをタッチするために一時停止している(筆者撮影)

今年3月、東南アジア最大級といわれる輸送機器関係の総合見本市「インドネシア国際交通ショー」がジャカルタで開催された。このショーはインドネシアや中国を中心とするバス・トラック・特殊車両、また二輪・四輪の車両部品メーカーが出展するが、一昨年から鉄道関連企業の集まるエリアも加わった。

鉄道関連は、中国中車やインドネシア国営車両製造(INKA)を筆頭に、信号や土木関係などのメーカーが目立つ中、今年は日本の交通系電子マネーを席券する「フェリカ」の開発元であるソニーが初出展した。

フェリカはインドネシアでも交通系ICカードとして採用が広がり、今年4月に開業したジャカルタ初の地下鉄、MRTJ南北線でも採用。今後は電子マネーとしての展開に向けた整備も進む予定だ。一方で、市中では新たな交通手段として、すっかり定着した配車アプリの事業者によるQRコード決済が急速に利用者を増やしている。

インドネシアにおける交通系ICカード、また当地におけるキャッシュレス決済の現状をリポートする。

■フェリカ採用に至った理由は?

「フェリカは、2015年からインドネシア通勤鉄道(KCI)のストアードフェア式ICカード『KMT』に導入され、ジャカルタ地下鉄公社(MRTJ)にも採用いただいた。今後開業予定のLRTジャカルタにも納入予定です」。ソニーの現地法人、ソニー・インドネシアのフェリカ担当、溝口雄貴氏はインドネシアでのフェリカ導入の現状についてこう語る。

KCIにおけるICカードの導入は、実はフェリカ導入よりも早く2013年のこと。従来手売りしていた紙の乗車券を全廃し、シングルトリップ(紙の乗車券と同じく1回のみ使用)のICカード「THB」に置き換えた。この際に、日本のスイカなどと同様にチャージして複数回使えるマルチプルトリップカードとしてKMTの発売も開始している。

このとき採用されたICカードは、国営通信会社テレコムが開発したNFC(近距離無線通信)規格のチップを搭載していた。KCIも国営企業グループの1つであるだけに、海外製品であるフェリカなどの参入余地はないものと筆者は見ていた。そのため、2015年2月にKMTへのフェリカ採用が発表されたときには、驚きを隠せなかった。

既存のシステムがある中で、フェリカはどのようにして入り込めたのか。

実は、KCI側がフェリカの導入に強い関心を抱いていたとのことだ。

テレコム製のチップは改札口での反応や読み取り速度に問題があったことも1つの理由だが、当時のKCIはJR東日本との相互協力の覚書を締結し、ハード・ソフト両面において日本から学ぼうと全社的に動いていた時期であり、やはりカードもスイカと同じものが欲しいという気運が高まっていたのが大きいという。

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