「安売りの元祖」ディスカウント店の意外な現状 ロヂャース、多慶屋の競争力はどこにある

東洋経済オンライン / 2019年6月11日 7時50分

当時の吉祥寺は総じて物が安く買えるエリアだったが、中でもこの店は別格だった。その後、筆者自身が引っ越しを重ねたこともあり、もう十数年は足を運んでいなかったので、ロヂャースの現状を確認しようとまずHPを開いたら、興味深い記述を見つけた。

「1973年に日本初のディスカウントストアを生み出した当社は……」とある。1973年といえば第一次オイルショックの年で、日本では物の値上げが相次ぎ狂乱物価の嵐が吹き荒れた。その時代に、安売りを掲げて浦和に1号店を開業し、年々店舗を増やしていったというロヂャース。ディスカウントストア自体が安売り店というあいまいな定義なので、本当に日本初かは定かではないが、そういう矜持を持った店であることは間違いない。

久々に訪れたロヂャース吉祥寺店は、店舗の場所を移動し、店構えも変わっていた。1、2階のフロアに分かれ、食品や衣料品、日用品、ペット用品などを扱っている。1階は食品がメインで、入り口付近には目玉商品として菓子類が並んでいた。この風景は訪日外国人の利用が多いドラッグストアとよく似ている。はたして食品を目玉にして客を呼び込むドラッグに、太刀打ちできる価格なのだろうか。

その心配は杞憂(きゆう)に終わった。日本初のディスカウントストアとうたうだけのことはあった。安い。とくに、PB(プライベートブランド)である「mykai (マイカイ)」は、値札を3度見するほどだった。500mlペットボトル入りの茶飲料は50円以下、菓子類もカップ麺も100円を下回る。メーカー品もドラッグストアで売られている価格より安いと感じるものが多かった。

衣料品はというと、紳士用の靴下が3足セットで500円程度。これには恐れ入った。全国どこに行っても安そうな店を見ると必ずのぞく筆者が見ても、かなりのレベルといっていい。

ディスカウントストア界のガリバーであるドン・キホーテにも「情熱価格」という低価格PBがあるが、「高品質でありながらも低価格」を目指したというmykaiも引けを取らないと感じた。スーパーやドラッグストア、コンビニと同様に、ディスカウントストアでもPBは低価格の切り札なのだ。

むろん、PB以外もなかなか健闘している。食品・消耗品を買うならリアルのディスカウントストアはまだまだ戦える余地は十分だと感じた。(※価格の例は税抜きの場合)

訪れたもう1軒は、御徒町に全8館を構える「多慶屋」。食品から家具・家電、紳士服にブランド品まで幅広く扱う総合ディスカウントストアである。こちらも歴史は古く、店を多慶屋の名前に改名したのはやはり1970年代半ば。近隣には上野アメ横や秋葉原の電気街と、地理的にも安売りの気質があったのだろう。こちらの店にも時々訪れた記憶がある。

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