「新幹線でウニ輸送」は物流の未来を変えるか JR東グループ、東北・上越で海産物輸送の実験

東洋経済オンライン / 2019年6月11日 22時0分

盛岡から東北新幹線「やまびこ」で東京に到着したウニを運び出すスタッフ(撮影:尾形文繁)

道路工事による渋滞のため、お目当てのバスは定刻から8分遅れの9時58分に盛岡駅東口のバス乗り場に到着した。すべての乗客が下車すると、待ちかまえていたスタッフが、バス下部の荷物スペースから4箱の容器を取り出した。

箱の中に入っているのは新鮮なウニの瓶詰め48個。これを新幹線で東京に運び、その日のうちに店頭販売する。新幹線を使った貨物輸送の実証実験が6月11日から始まった。

実行したのはJR東日本グループの子会社で、ベンチャー企業への出資や協業を推進するJR東日本スタートアップと、水産物の卸・小売りを手がけるフーディソン。両社は海産物の駅ナカ販売で提携関係にあり、今回の新幹線を使った輸送に発展した。

■急行バスと新幹線で東京へ

JR東日本スタートアップの担当者は、「以前から新幹線物流の可能性は検討していた」という。しかし、海産物を産地から販売地へ輸送する過程には多くの業者が関わってくる。どのくらいスムーズに輸送できるかは未知数。そこで物流ノウハウを持つフーディソンと組んでの実証実験に至った。

新鮮なウニは「106急行」バスに乗せられ7時35分に宮古駅前のバス乗り場を出発した。そして盛岡駅到着後は、11時07分発の東北新幹線「やまびこ44号」で東京に向かう。新幹線では5号車にある業務用室に収められた。通常は車内販売用のワゴンを収納するスペースだ。

瓶詰めウニ48個が収められた業務用室はしっかりと施錠された。今回の実証実験では担当者が同乗したが、「もし事業として本格的に行われるようになったらコストの観点から荷物だけ運んで、担当者が同乗することはないでしょう」と話す。

14時24分、新鮮なウニを乗せたやまびこ44号は定刻通り東京駅に到着した。その20分後、今度は新潟駅から新鮮な甘エビを乗せた上越新幹線「とき320号」が到着した。朝9時30分に佐渡の両津港からジェットフォイルで新潟港に運ばれたものだ。

ウニと甘エビはトラックで東京駅から品川駅に運ばれ、15時30分過ぎに品川駅ナカの商業施設「エキュート」の店頭に並んだ。瓶詰めのウニは1瓶(160g)3600円。「採算は度外視。お客様が買ってくれるのではないかという値段です」と担当者はいう。11日を含め、同様の新幹線物流は21日まで計6回行われる予定だ。

■長所はスピード輸送

新幹線物流の長所は何といってもスピードだ。「宮古から東京までトラック輸送では10~12時間かかるが、バスと新幹線の組み合わせなら6~7時間しかかからない」と、JR東日本スタートアップの担当者は話す。新幹線で運べば、早朝に水揚げされた新鮮な海産物を夕方には都内の店頭で売ることができる。「新鮮」という点が消費者にきちんと認知されれば、海産物の新幹線物流が本格稼働する可能性はありそうだ。

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