人生100年時代には「人間とは何か」が問われる 「リンダ・グラットン×小泉進次郎」特別対談

東洋経済オンライン / 2019年6月13日 8時0分

小泉:長く働くということを、国民の皆さんにいかに前向きに捉えてもらえるように話すかは非常に大切ですね。日本の世論調査で「あなたは何歳まで働きたいですか」と聞くと、「働ける限り働きたい」という回答が最大です。この話をアメリカでするとみんなが驚きました。

日本人の持っている、勤勉という強み。これは戦後の発展を支えた原動力でもありますが、人生100年時代においても、日本人の最大の強みになると思います。やはり人生100年時代は、日本のニューフロンティアになる。僕は改めて確信しました。

そして生涯教育。最近取り組んでいるのは、教育訓練給付金です。「ユーキャン」などがわかりやすいでしょうか。一定の条件を満たせば、学費の一部が雇用保険から支給される制度があります。

実はこういった支援制度には国から相当な助成が出ていますが、あまり知られていません。せっかくの制度をもっと活用してもらいたい。そのためには、国民に必要な情報を届けていくコミュニケーション戦略が必要です。

小泉:年金についても、70歳まで待って受給額を42%アップするという選択をとっている人はわずか1%しかいません。制度をしっかり周知すれば確実に結果は出ます。

政治家の仕事は、政策や法律を作って終わりではない。いくらよい政策を作っても、知られなければ存在しないも同じですから。

グラットン:重要なことですね。学びなおしについては、政府は2つの形で役割を果たせると思います。まずは資金提供です。シンガポールのように、政府が毎年国民になんらかの学びができるよう資金を提供している国もあります。

2つ目は、国民がちゃんとした選択を下せるような支援ですね。現代のように労働市場が大きく変わり、いろいろな仕事が自動化されたり、かつてなかった仕事が新たに生まれる時代においては、新しい仕事がどこからやってくるのか、どんなスキル、どんな準備が必要なのかを国民に知らせ一人ひとりが賢明な選択を下せるよう助けることが大切です。例えばドイツの政府は、地域コミュニティーの単位でそのような支援を提供していると聞いています。

■「時間のリバランス」という考え方

――日本人の勤勉性は、人生100年時代において奏功する資質ともなるということですが、ほかに何が必要でしょう?

グラットン:日本の労働制度は、日本人の勤勉さを促す仕組みになっていると思いますが、ただ、勤勉さは人生のバランスの代償として実現されてきた面もあるでしょう。とくに、時間を再分配する必要が出てきます。

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