「孤独死」保険が登場せざるをえない深刻な背景 少額短期保険会社を中心に取り扱われている

東洋経済オンライン / 2019年6月14日 7時20分

さて、今なぜ「孤独死保険」の取り扱いがミニ保険で増えているかというと、主な理由は2つある。1点目は、保険商品として発売するまでのハードルが低いことだ。生命保険会社も損害保険会社も新商品は金融庁の認可が必要だが、ミニ保険なら財務局への届出で済む。消費者ニーズを取り込んだ保険商品をフットワーク軽く開発できる利点がある。

そして2点目は、孤独死対策委員会を設立し、業界として孤独死の現状とリスクを前向きに捉える土壌がある。業界各社が持ち寄った孤独死支払い案件データを統計化し分析した「孤独死現状レポート」は今年(2019年)ですでに第4回を迎えた。

少額短期保険会社は2019年5月現在、101社ある。そのうち、孤独死保険を取り扱うのはおよそ4分の1。賃貸住宅の入居者自身が入る「入居者型」は20社以上、家主や管理会社が契約する「家主型」は4社ほどある。

以下では「孤独死保険」の例を3つ紹介する。アイアル少額短期保険の「無縁社会のお守り」は、家主が所有・管理する賃貸住宅内で発生した孤独死・自殺・犯罪死といった死亡事故で家主が被る損失について補償する。

1戸室当たり年間保険料3600円(1カ月当たり300円)の保険料で、遺品整理費用・原状回復費用について1事故限度100万円、家賃保証について1事故限度200万円といった補償を受けられる。

保有戸室数が4戸室以上の家主が契約できるが、在宅生活支援パートナー協会の「きいろの窓口」や、アイキューフォーメーションの「見守り電気」といった見守りサービスを導入している戸室であれば1戸室でも契約できる。

■火災保険に付いている商品も

あそしあ少額短期保険の「大家の味方」は、入居者が戸室で亡くなったり、火災や台風などの被害を受けて家賃収入が途絶えたりしたときの家賃損失を、リフォーム完了日まで(最大6カ月分)補償する仕組みだ。特約を付けると、入居者が死亡して戸室修繕が必要になった際の費用の補償も得られる。

年間保険料は、家賃補償については[家賃×1.22%]、修理費用特約は[戸室数×2570円]で求める(2019年5月現在)。1棟3室、月額家賃合計20万円、修理特約付きの例なら、20万円×1.22%+3室×2,570円=10,150円が年間保険料となる計算だ(1室当たり約3383円)。

さて、賃貸物件を借りる際には、通常、家主や不動産業者から火災保険(家財保険)への契約を入居者は求められるが、その中にも「孤独死保険」がある。例えば、東京海上グループの2社が提供する「お部屋の保険 ワイド」は、通常の火災保険に、死亡による修理費用(50万円を限度)や遺品整理費用(50万円を限度)の補償が含まれたプランだ。

賃貸入居時の火災保険は、ほぼ必ず入らなければならないが、家主や不動産業者が提示したプランでなくても自分で手配して契約することはできる。孤独死のリスクが気になる人は、業者提示のプランを確認して自分で手当てするのも一策だ。

大家業をしている人も、不動産業者が選ぶ火災保険のラインナップに、これらの補償が入っているプランを加えるように不動産業者に依頼する手もある。

孤独死保険の利用に当たっては、念入りな情報収集がおすすめだ。見てきたように、補償内容は各社で異なるため、自分の希望に合ったものを選びたい。また、少額短期保険会社が取り扱う保険も、各社で百花繚乱の状況にある。時代のニーズにマッチした特色ある保険を次回も取り上げる。

竹下 さくら:ファイナンシャルプランナー/宅地建物取引士

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