今のままでは大幅な円高ドル安になりかねない 安倍政権は「脱デフレ政策」を「放棄」したのか

東洋経済オンライン / 2019年6月14日 8時0分

本当に「7月参議院選挙、10月消費増税」なのだろうか。このまま行くと「円高ドル安」リスクが高まりそうだ(撮影:尾形文繁)

6月に入ってアメリカ株は大きく反発しているが、市場心理はなおもトランプ政権の通商政策に揺れ動いている。

もう一度5月初旬以降のマーケットを振り返ろう。ドナルド・トランプ米大統領が、対中関税引き上げを再開したことをきっかけに、高値圏にあったアメリカの株式市場は下落。中国がこれに反発する中で、アメリカ政府は中国大手通信機器会社ファーウェイへの禁輸措置を追加で発表。貿易活動そして企業のサプライチェーンに大きな影響が及ぶリスクがでてきた。アメリカはさらにメキシコからの輸入に最大25%の関税引き上げを突如発表。その後メキシコとの合意で関税引き上げが見送りとなり、これ以降、金融市場の雰囲気は様変わりした。

■FRBは9月までに利下げ開始へ?

だが、筆者が強調したいのは、それ以上に変わったFRB(米連邦準備制度理事会)の金融政策に対する姿勢である。FRBは2019年初早々に利上げ打ち止めに転じ、その後金融政策を据え置く姿勢を示してきた。

同時に、将来の金融緩和強化に繋がる金融政策の枠組み見直しなどの議論を本格化させ、ハト派姿勢を強める理論武装を進めた。

6月4ー5日にシカゴ連銀主催で行われたカンファレンスでは、政策枠組み見直しなどが主たるテーマだったが、この時のジェローム・パウエル議長などが示した景気下振れへの警戒などを踏まえると、FRBは利下げに政策方向を転じたとみられる。実際の政策判断は今後の景気指標次第だが、重要指標の一つであるアメリカのISM製造業指数などが今後50を下回るなどの景気指標の悪化があれば、FRBは9月までに利下げを始めると筆者は予想している。

金融緩和姿勢を強めているのはFRBだけではない。ECB(欧州中央銀行)は6月初旬の理事会で、現行のマイナス金利政策を、従来の2019年末から少なくとも2020年半ばまで続けると声明文を変更し、フォワードガイダンスを強化した。マリオ・ドラギ総裁は会見で、理事会のメンバーが追加利下げを提議したと言及、そしてドラギ総裁自身も次の政策アクションは利上げではなく利下げになる、との考えを示した。

実際にECBが利下げに踏み切るには、アメリカによる自動車関税引き上げで景気後退が現実味を帯びることがきっかけになるだろう。2019年10月のドラギ総裁の退任が迫る中で、フォワードガイダンスの更なる強化などが予想される。

FRB、ECBに加えて、2019年になってからオーストラリア、インド、中国などのアジア諸国の中銀も金融緩和姿勢を強めている。特に、輸出や資源価格など外的環境に左右されやすい新興国などで、金融緩和の前倒しが目立っている。

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