34歳「地図の新しい見方」を探求する男の仕事観 幼児期の原体験が「空想地図」につながった

東洋経済オンライン / 2019年6月18日 8時0分

幼児期の原体験が「空想地図」につながったという今和泉隆行さん(筆者撮影)

これまでにないジャンルに根を張って、長年自営で生活している人や組織を経営している人がいる。「会社員ではない」彼ら彼女らはどのように生計を立てているのか。自分で敷いたレールの上にあるマネタイズ方法が知りたい。特殊分野で自営を続けるライター・村田らむと古田雄介が神髄を紡ぐ連載の第64回。

■想像で街の地図を描いた作品『空想地図』

今和泉隆行さん(34歳)は『空想地図』を描く人物として知られている。

『空想地図』とは、文字どおり想像で街の地図を描いた作品だ。ウェブでも公開されている『中村市(なごむるし)』の空想地図を見ると非常にリアルに書き込まれている。公園、商業施設、学校などが並ぶとても現実的な街だ。この地図を何も知らずに見たなら、ほとんどの人が本物の地図だと思うだろう。

こだわりは地図だけではない。中村市で発行された架空の銀行カードや運転免許証、中村市内のお店で買い物をした際にもらったレシートまで、すごい完成度で製作している。空想地図はTV番組「タモリ倶楽部」などでも紹介され話題になり、2013年には『みんなの空想地図』(白水社)を上梓した。

そして今和泉さんは、今年の3月に『「地図感覚」から都市を読み解く: 新しい地図の読み方』という新刊を発売した。

この本は、地図オンチの人にも感覚的に地図がわかるようになる技術を紹介した話題の1冊だ。

なぜ今和泉さんは『空想地図』を描き始めたのだろうか?

そしてなぜ、ここにきて地図オンチ向けの本を作ることにしたのだろうか?

今和泉さんのご自宅で話を聞いた。

今和泉さんは、母親の里帰り出産によって鹿児島市で産まれ、その後はずっと関東で育った。5歳までは横浜で暮らした。

「4歳の時にバスの路線図が好きになりました。知らない場所に行くのが、好きだったんです。実家には自動車がなかったので、出かけるとなると路線バスか電車でした」

父親と路線バスに乗ると、バスは横浜駅からだんだん離れて進んでいった。横浜駅から離れるに従い風景が変わっていく。

駅周辺のマンションが密集した地域を抜けると、林が現れた。空が広くなり、そして一軒家が並ぶ住宅街になっていった。

「ダイナミックに風景が変化していくのが好きでした。家に帰ってから路線図を見て振り返りました。『さっき聞いた地名の場所はここなんだ』とか未知の行き先を見つける入り口でしたね」

現在でも、今和泉さんはバスの路線図が好きだという。

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