東京の空にドローンでテロは仕掛けられるのか 警察は現実に起こりうると捉えている

東洋経済オンライン / 2019年6月21日 7時40分

警察庁はこれまで不審なドローンを見つけた場合、捕獲用のネットを取り付けたドローンを飛ばして行く手を阻む方法を採用していたが、五輪前にさらに対策強化に乗り出した形だ。

こうしたアンチドローンの装置は、世界中で開発されているが、大きく分けて2つある。1つは広範囲にわたって妨害電波を発信、ドローンを制御できなくするものだ。ただ、こうした妨害電波は一般の電子機器にも影響を及ぼすことから、一定時間や限定したエリアにとどめるならいいが、常時発信させておくことはできないという欠点がある。

この点、アメリカのドローンシールド社の開発した「ドローンガン」はピンポイントでドローンを狙うため、周囲への影響は少ない。その射程は2キロに及ぶという。警察庁が導入したのもこのタイプだと見られている。

ただ、広範囲に妨害電波を照射するタイプも、ピンポイントで狙うタイプにしてもカギとなるのは、いかに高速で飛んでくるドローンを事前に発見できるかだ。実はこれが難しい。

■東京を無数のドローンが襲撃する日

2015年に首相官邸屋上で落下したドローンが見つかった事件は大きく報じられたので記憶に残っている読者もいるだろう。反原発を訴える元自衛官が放射能汚染土や発炎筒を搭載したものだったが、この男がドローンを飛ばしたのは実は見つかる2週間も前のことだった。東京23区などの住宅密集地の上空でドローンを飛行させる場合に国の許可が必要となる航空法が改正されたのはこの事件があったからだ。

また、仮にレーダーで検知したとしても、サイズ的に鳥とどう区別するのか、仮にドローンとわかっても、一度に多数機が飛来したらどうするかなど課題は多い。実際、多数のドローンを一度に制御する技術は現実のものになっている。

元警察情報通信研究センター所長の澤田雅之氏は「テロ敢行手段としてのドローンの脅威と対処方策」という論文の中で、「大型で高速なドローンが、重要警戒エリアの遥か彼方から精密に無線誘導され、夜の闇に紛れて要所・要人目掛けて突入してくるテロ攻撃は、すでに現実の脅威となっている」と指摘している。

テロリストは当局が対策を考えればすぐに対抗手段を考え出す。電波妨害をすり抜けることは技術的には可能だし、その戦いはつねにいたちごっこだ。また、ドローンを過度に規制することについては、報道現場での利用を進めているマスコミや、産業界からも慎重さを求める意見も出ている。

「医療」「空飛ぶタクシー」や「宇宙探査」といった分野でも活躍が期待されているドローン。各地ではドローンのレースが催されるなど、新たなエンタメとしてもポテンシャルを感じさせる。だが、テロが実際に起こってしまえば、そうした「夢」も吹き飛びかねないムードになってしまうかもしれず、具体的に防ぐ手だてを講じておく必要がある。

初瀬 礼:作家

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