不動産投資マネーが「保育園」に次々集まる事情 投資に妙味、金融商品として一定の存在感

東洋経済オンライン / 2019年6月21日 8時0分

待機児童解消は大きな課題。保育園の整備が急ピッチで進んでいる(撮影:今井康一)

不動産投資関係者の間で「保育園」に注目が集まっている。

東京・台東区。下町風情の残る町の一角に今年4月、認可保育園「さくらみらい入谷」が開園した。

この保育園を開発したのは、2018年11月に東証マザーズ上場した「霞ヶ関キャピタル」だ。「子どもを保育園に預けたいニーズは底堅く、キャッシュフローは安定している。収益事業ではあるものの、社会貢献としての意義もある」と河本幸士郎社長は語る。用地仕入れから建設、運営事業者の確保などを経て、今年3月に外部ファンドに売却を果たした。今後は認可保育園への投資を専門にしたファンドも検討しているという。

■収益性以外にも魅力

待機児童問題が叫ばれる中、保育園の建設が急ピッチで進んでいる。厚生労働省によれば、認可保育園や認定こども園の数はこの5年で4割も増加した。それを陰で後押しするのが、不動産ファンドなどによる資金流入だ。用地を仕入れて建物を建設し、運営事業者を誘致した保育園を売却して利益を得たり、長期で保有しながら賃料収入を得たりすることが目的だ。近年はビジネスに対して収益だけでなく社会貢献を求められる風潮も、保育園投資にとって追い風となっている。

とはいえ、もともと保育園は収益性が決して高い物件ではなかった。東京都は2016年から保育園などの福祉施設を民間資金を活用して建設する方法を議論していたが、2017年3月に取りまとめた報告書では、「福祉関連施設は収益施設に比べ、収益性が一定程度劣る」と結論づけた。

一方で、他の収益物件にはない、保育園ならではのメリットもある。賃貸マンションやオフィスと異なり、保育園は周辺地域に待機児童がいる限り稼働率が落ち込むことは考えづらく、収支は比較的安定する。補助金の手当てもあって利用者1人当たりの単価も高い。運営で得られる収入だけでなく、保育園の整備費用も自治体によっては最大4分の3が補助金で賄われることも追い風だ。

大和ハウスリート投資法人も3月、東京都大田区で2~3階に保育園が入居する3階建てビルを13.8億円で取得した。ビルの利回りは4.4%。同時期に取得したホテルや物流施設などの平均純利回りが4.8%であることを考えると、やや見劣りする数字だ。

それでも、運用会社である大和ハウス工業は「長期契約を結んでおり、退去リスクが抑えられる。認可保育園であるため、運営面でも安定している」とする。1階にはドラッグストアが入居しているが、子どもを預けたり引き取りに来たりした家族がドラッグストアで「ついで買い」をする相乗効果も期待できる。

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