日本人と仮想通貨の「相性」はどれほどなのか 信用の国における普及の未来を展望

東洋経済オンライン / 2019年6月26日 8時40分

大きなポイントは2つ。まず1つは、仮想通貨の定義が決まったことです。それまで明確な定義がなかった仮想通貨ですが、この改正では不特定の人に対する支払い手段として利用できる通貨だと定義されました。また、日本円などの法定通貨と相互に交換できることも正式に認められています。

もう1つのポイントは、仮想通貨交換業者の登録制度が始まったことです。セキュリティ性や資産管理法など、金融庁が設けた基準を満たさない企業は営業を続けられない決まりとなりました。

実際に登録が始まったのは2017年9月29日。しかし、このときすでに交換事業をスタートさせていた企業も多数ありました。金融庁はそれらの企業を「みなし業者」とすることで、当分は営業が継続できるような措置を取っています。行政機関としては珍しい柔軟な対応ですが、金融庁も仮想通貨に少なからず期待していた面があったのでしょう。

金融庁による規制ができたことで、ユーザー側にもなんとなく安心感が生まれます。世界のビットコイン取引のうち日本円の占める割合は40%台まで上昇しました。

コインチェックは2018年1月にハッキング被害を受けたのち、マネックスグループによって完全子会社化され、2019年1月に登録業者となりました。

登録制度開始時は、今より多くの正式登録を待つみなし業者がいましたが、金融庁の求めるセキュリティ条件に満たないなど、撤退を余儀なくされた企業もいくつかあります。

当初は、インターネット広告大手サイバーエージェントも仮想通貨交換業へ乗り出すことを発表し、2018年春には仮想通貨取引所を開設することを宣言していました。しかし、コインチェックのハッキング事件を受けて、藤田社長自ら「傷が浅いうちに」参入を断念することを発表しました。予想以上にリスクがあることを改めて認識したうえでの決断でしょう。

それでも楽天やLINEのように仮想通貨事業への新たな参入を表明する有名企業も登場しています。

■LINEのような独自コインの発行が増えるか

IT大手の楽天は、連結子会社である楽天カードを通じて、みんなのビットコインの全株式を取得、楽天ウォレットを立ち上げました。今後は独自仮想通貨の発行も視野に入れている楽天としては、仮想通貨交換事業に取り込む必要性を感じたのでしょう。また、楽天証券では顧客から仮想通貨の運用を希望する声が高まっていたことも大きな理由だといいます。

LINEも仮想通貨事業に乗り出すことを表明していますが、他の企業とは異なり少し先を見据えています。同社は2018年10月16日からグループ会社のBITBOXという仮想通貨取引所で、日米を除いた地域で独自コイン「LINK」の取り扱いをスタートさせました。

今後は独自に構築したブロックチェーン技術を活用したサービスも展開する予定で、コンテンツを投稿するなどしてサービスの発展に貢献したユーザーには報酬としてLINKを付与することも考えていると発表しています。

将来的な潮流としては、仮想通貨の取り扱いだけでなく独自コインの発行も盛んになるかもしれません。独自コインは運営元となる企業がいる点で非中央集権を目指す仮想通貨と厳密には異なりますが、通貨の選択肢が増えることで経済活動の新たな可能性を探ることができそうです。

マルク・カルプレス:トリスタン・テクノロジーズ取締役CTO

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