解散に怯える野党、「から騒ぎ」の会期末政局 メディアの注目は戦争発言の丸山穂高議員に

東洋経済オンライン / 2019年6月27日 7時20分

一方、野党5会派の不信任などに同調しなかった維新は、25日の衆院本会議で反対討論に立った足立康史衆院議員が「内閣不信任決議案に反対と申し上げたのは、別に自民党や公明党と行動をともにしたいからではなく、共産党と同じ行動を取るのが死んでも嫌だからだ」と発言して議場をざわつかせた。

ただ、2日間にわたった衆参両院での与野党攻防はNHKもまったく中継せず、民放各局も定時ニュースで短く伝えただけで、「永田町だけのから騒ぎ」(自民長老)に終わった。そうした中、メディアが取材に集中したのは25日の衆院本会議に出席した丸山穂高議員(維新を除名)だった。

北方領土に関する「戦争発言」を批判され、体調不良を理由に国会を欠席していた丸山氏は約1カ月ぶりに登場。テレビメディアなどは与野党攻防そっちのけで取材に殺到した。本会議後、丸山氏は不信任決議案に反対票を投じたことを明らかにするとともに、同氏に対する衆院での糾弾決議については「非常に遺憾。任期を全うしていきたい」と改めて議員辞職しない考えを表明し、そそくさと姿を消した。

■G20首脳外交で「世界の安倍」をアピール

衆参同日選を見送った首相は26日午後に首相官邸で記者会見し、「参院選の最大の争点は安定した政治のもとで改革を前に進めるか、混迷の時代に逆戻りするかだ」と強調。その上で憲法改正について、「議論すら行われない姿勢で良いのか、国民に問いたい」と重要な争点としたい考えを明確にした。

国会閉幕を受け、首相は28~29日に大阪で開催される20カ国・地域首脳会議(G20)を舞台とする首脳外交で、参院選勝利に向けて政権浮揚を狙う構えだ。26日には公式訪日したフランスのマクロン大統領と会談。27日には中国の習近平国家主席、28日にアメリカのトランプ大統領。29日にはロシアのプーチン大統領と会談し、内外に「世界の安倍」をアピールする。

首相サイドは「国会終盤で炎上した『2000万円問題』も首脳外交で上書きされて消えるはず」とほくそ笑む。与党内には「首相のしたたかな政治日程の設定には改めて舌を巻く」(公明幹部)との声も広がる。

ただ、ここにきての安倍外交をみると、北方領土問題を含む日ロ交渉は一向に進展せず、日米貿易交渉での「日本に不利な密約」説も消えていない。野党側は参院選に向けて「安倍外交は八方ふさがり」と攻撃する構えで、「参院選に合わせた安倍外交が自民有利に働くかどうかは不透明」(閣僚経験者)との声も広がる。

最新の世論調査で、内閣支持率や自民党の政党支持率が下落傾向を示していることも首相にとっては不安材料だ。競馬好きな野党ベテラン議員も「安倍政権は3コーナーを断然トップで通過したが、ゴール前で落馬の可能性もまだ残る」と意味ありげに語るなど、先行きは予断を許さない。

泉 宏:政治ジャーナリスト

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