医者の数は「田舎に少なく」「都会に多い」のウソ 埼玉県の医師数は「鳥取の半分」程度しかない

東洋経済オンライン / 2019年7月2日 7時40分

厚生労働省の調査によると、人口10万人当たりの医療施設で働く医師数(2016年)は、全国で240.1人、鳥取県は298.1人、東京都304.2人です。人口当たりで見ると、田舎の鳥取県が、都会の代表である東京都に比肩する医師数なのです。一方、人口当たり医師数が全国最下位で医師不足に悩む埼玉県は、10万人当たり160.1人と、鳥取県や東京都の半分近くの医者しかいません。

なぜこんなことになるのでしょうか。終戦の1945年には埼玉県の人口は約200万人程度でしたが、高度経済成長における首都圏への人口流入にともない人口は右肩上がりを続け、2018年には約730万人に達しています。しかし、埼玉県の医学部としては、私立大学が1972年に1校設立されただけです。戦後に3倍以上増加した人口への対策は行われなかったのです。同じように、医師不足が目立つのは首都圏で、人口10万人当たり医師数は、茨城県は第46位の180.4人、千葉県は第45位の189.9人です。

医者は出身大学に関係なく、日本中どこでも勤務先を選べるし、医学生も出身地以外の医学部に入学し、地元に戻る人も多いのではないか、と思われるでしょう。そこで、私も所属する医療ガバナンス研究所では、研究当時医学生だった岡田直己氏らとともに、日本で医者が医学部卒業後、どのように勤務地を選んでいるのか、1995年から2014年にわたる20年間のデータを用いた推計を行いました(Okada N, et al. A model-based estimation of inter-prefectural migration of physicians within Japan and associated factors: A 20-year retrospective study. Medicine (Baltimore). 2018 Jun;97(22):e10878.)。

私たちは、都道府県ごとの医師免許取得者の数に比べて、実際に勤務している医者の数が多いのか少ないのか、その比率を算出しました。例えば、ある県で1000人の新規の医師免許取得者がいるとして、実際の勤務者数が500人しかいなかった場合、50パーセントの医者が他県へ流出したと推定しました。逆に、1500人の勤務者数だったら、他県の大学を卒業してから流入してきた医者が50パーセントいると考えるわけです。その結果は大変興味深いものでした。

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