「トランプ・金」会談は本当に異例ずくめなのか 米朝首脳に重くのしかかる「2020年問題」

東洋経済オンライン / 2019年7月2日 7時50分

北朝鮮の金正恩委員長(左)とアメリカのトランプ大統領(中央)は板門店で歴史的な会談を行った。右は韓国の文在寅大統領(写真:EPA=時事)

6月30日に行われた米朝首脳会談はまさに異例ずくめだった。

トランプ大統領がソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)で会談を呼びかけたこと。呼びかけからわずか1日で実施されたこと。北朝鮮の指導者が朝鮮戦争時の南北軍事境界線を越えて、アメリカ大統領と会談したこと。そして、韓国大統領を交えて三者で会談を行ったことだ。

■会談を実現させた実務担当者の根回し

だが、内容をよく見るとそれほど異例なことはない。今回の会談で重要なことはただ一つ。今年2月、合意なしで終わったベトナム・ハノイでの米朝首脳会談をひとまずリセットし、今後も会談を続けていくと確認したことだ。

トランプ大統領がSNSで首脳会談を呼び掛けたのは事実だ。しかし、両首脳は2月以降、親書を交換している。さらに、会談直前の6月27日にアメリカ国務省のビーガン北朝鮮担当特別代表が韓国入りしている。事前に今回の首脳会談の可能性を念頭に置いた行動だ。

不発に終わったハノイでの会談以降、ビーガン氏らアメリカ側の実務担当者は、3回目の首脳会談開催を進めるべく、精力的に北朝鮮と接触を繰り返してきたことが知られている。トランプ大統領はそれだけ北朝鮮との交渉に意欲的だということだ。今回の会談に至るトランプ大統領の演出力は見事だったが、それもビーガン氏をはじめとする実務担当者らによる十分な根回しがあってこそだ。

会談終了後、トランプ大統領自ら「今後2~3週間内に実務協議を開く」と明言した。アメリカ側はポンペオ国務長官をトップとするものの、ビーガン氏が協議を実質的にリードするだろう。

一方の北朝鮮側は形式上、アメリカがポンペオ氏を出してくるなら、カウンタパートは外相の李容浩(リ・ヨンホ)氏となる。ハノイ会談以降、北朝鮮側の交渉担当者の構成が朝鮮労働党から北朝鮮外務省へ移行した。今回の会談でも、李外相や崔善姫(チェ・ソニ)第1外務次官の姿が見えており、彼ら外務省を中心とした交渉陣となりそうだ。

会談に先立つ6月27日、北朝鮮外務省はアメリカ担当局のクオン・ジョングン局長が「アメリカと対話を行おうとしても、交渉の姿勢が正しくなくてはならず、言葉が通じる人と交渉すべきであり、まともな対案を持って出てこそ交渉も開かれる」との談話を発表した。

今回、両首脳が「実務協議を行う」ことで「姿勢」は一致した。北朝鮮から一定の信頼を得ているビーガン氏をアメリカ側が出してくることで、北朝鮮も「言葉が通じる人」と納得するはずだ。北朝鮮側もハノイでの交渉陣と異なる人物が出てくる。問題は、「まともな対案」が双方から出てくるかだ。

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