あのTikTokに次ぐアプリ、「PDD」って何だ? 中国でアリババの座を脅かす新興ECの素性

東洋経済オンライン / 2019年7月5日 7時50分

中国ECの巨大セールは11月11日の「独身の日」だけではない(編集部撮影)

貿易協議が再開したとはいえ、長期化が予想される米中貿易摩擦。その余波は、中国のEC業界にも及んでいる。

中国EC最大手のアリババグループが牽引する、毎年11月11日の「独身の日」セールは日本でも認知度が高いが、6月にも巨大なセールがあることはあまり知られていない。EC業界2位の京東(JDドットコム)が6月1~18日まで、自社の創業祭として主導する「618セール」だ。「独身の日」セールに匹敵する売り上げ規模になりつつある。

従来は、京東が5月から大規模なプロモーションを始めるのに対して、ライバル企業は傍観することが多かった。「京東のセールに参加しても、結局は京東の存在感を高めるだけ」(アリババ関係者)。だが、今年から状況が一変した。5月に入り、アリババが「独身の日に相当するセールを6月にも実施する」と、明言したのだ。

EC新興勢力の拼多多(ピンドゥオドゥオ、PDD)も100億元(約1600億円)のクーポンを用意し、参戦表明した。

■取引額は1社だけで3兆円超え

その結果、セール期間中の京東の取引額は、前年比26.6%増の2015億元(約3.2兆円)に到達。アリババは金額を公開していないものの、多くのブランドが昨年の「独身の日」セールの売上高を上回ったという。PDDは11億件超の注文を獲得し、そのうち7割が地方都市からの注文だった。

京東の「618セール」に各社が“便乗”するようになったのはなぜか。

米中摩擦に対して、中国国内では「一致団結して長期戦に立ち向かおう」といった機運が高まっているものの、中国経済の先行き不透明感が増していることは事実である。

それだけではない。昨年来、中国人の消費行動に関して、消費意欲の向上と消費者ニーズの多様化による「消費昇級(アップグレード)」と、質の低い安物を求める傾向を表す「消費降級(ダウングレード)」という、2つの説の間で論争が起きている。ECの主戦場が北京や上海などの大都市から、小都市や地方に広がり、新たなユーザー争奪戦が始まっているのだ。

突然、「618セール」に各社が参入したのは、ユーザー獲得競争が激化する中、あらゆる機会を逃したくないという意図の表れである。 

ここ十数年、中国では、ECプラットフォームの興亡が繰り返されている。アリババ系の「タオバオ」や「Tモール」のような総合型プラットフォームが成長を続ける一方、かつて“オンライン版ユニクロ”と呼ばれた「凡客誠品(VANCL)」や、書籍専門の「当当網」といった専門型プラットフォームは軒並み苦戦。

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