HIS、ユニゾTOBで狙う「ホテル王」への野望 ホテル事業拡大へ不動産会社買収のなぜ?

東洋経済オンライン / 2019年7月11日 7時20分

7月10日、都内で記者会見したHISの澤田秀雄会長兼社長。「トップ10入りしたい」と宣言した(編集部撮影)

「国内と海外のホテル事業を強化し、トップ10入りしたい。そのために、ユニゾホールディングスと提携し、協業関係を深めたい」

大手旅行会社エイチ・アイ・エス(HIS)の澤田秀雄会長兼社長はそう宣言した。

■買い付けプレミアムは56%上乗せ

HISは7月10日、旧日本興業銀行系の不動産会社ユニゾホールディングスに対し、TOB(株式公開買付)を開始すると発表した。

7月11日から8月23日までTOBを実施し、最大1375万株、発行済み株式数の45%を上限に買い集める。買い付け価格は7月9日の株価に56%上乗せした1株3100円で、総額427億円を投じる計画だ。

ユニゾHDは「ユニゾ」ブランドのホテルを全国で25軒運営している。さらに、東京を地盤にユニゾブランドなどの賃貸オフィスを79物件保有、売上高の8割弱を賃貸不動産が稼ぎ出す。

HISが狙いをつけたのが、このホテル事業だ。「当社のネットワークと販売チャネルを使えば稼働率を向上させられる。不動産取得やホテル開発などでも相乗効果が見込める」(HISの中谷茂・財務担当取締役)。

HISは売上高の9割弱を占める旅行事業のほか、経営再建を果たした長崎のテーマパーク・ハウステンボスが収益を稼ぎ出していた。ところが、旅行事業はネット専業の旅行業者の攻勢を受ける状況で、ハウステンボスも熊本地震以降、集客に苦戦して利益が伸び悩んでいる。

そこで進めるのが宿泊特化型の「変なホテル」に代表されるホテル事業の拡大だ。インバウンド観光客の増加を受けて、ホテル業界は市場の拡大を謳歌している。HISも従来から自社開発やM&Aで2023年までにホテルを100軒(稼働中33軒、建設中・交渉中34軒)に増やす方針を掲げていた。

そこで狙いを付けたのがユニゾだった。HISによれば、ホテル事業の強化に乗り出した2014年以降、M&Aや提携先を模索し、2018年月中旬にユニゾHDに照準を定めた。

■ユニゾHDは一方的なTOBに反発

2018年9月にユニゾ HDへ業務提携を打診したが、検討を進めるような回答は得られなかったという。そこでHISは市場でユニゾ株を買い集め、直近で4.79%を保有する筆頭株主に浮上。そして今回TOBという形で提携を突きつけた格好だ。

TOBが成立すれば、HISグループのホテル運営軒数は、開発中のものを合わせて92軒に拡大。宿泊特化型ホテルの国内運営会社として「トップ10入りする」(澤田会長)と期待に胸を膨らませる。

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング