最低賃金「引き上げ反対論」が無知すぎて呆れる 「国際比較のワナ」「インフレ」の論理的な破綻

東洋経済オンライン / 2019年7月12日 7時10分

「最低賃金引き上げによる生産性向上」への反論に見られる「よくある誤解」を解いていきます(撮影:尾形文繁)

オックスフォード大学で日本学を専攻、ゴールドマン・サックスで日本経済の「伝説のアナリスト」として名をはせたデービッド・アトキンソン氏。

退職後も日本経済の研究を続け、『新・観光立国論』『新・生産性立国論』など、日本を救う数々の提言を行ってきた彼が、ついにたどり着いた日本の生存戦略をまとめた『日本人の勝算』が刊行されて半年。「最低賃金引き上げ」というアトキンソン氏の主張が現実のものになりつつある。

今回の参院選も、自民党が最低賃金1000円、立憲民主党が1300円、共産党が1500円を掲げ、まさに「最低賃金引き上げ選挙」と言っても過言ではない状況だ。

しかし一方で、最低賃金引き上げに対する反論も見られる。今回は、反対論に見られる「よくある過ち」を紹介する。

■生産性の議論はもっと真剣かつ論理的に行われるべきだ

出口治明氏との対談、「日本人はなぜ『論理思考が壊滅的に苦手』なのか」という記事には、大きな反響がありました。日本でマネジメントに携わる人たちは、もっと論理的思考に磨きをかけ、日本で起きている急速な人口の減少と高齢化の進展という危機的事態を真剣に捉え、対処のための政策を早急に考えるべきだと指摘しました。

日本は人口増加というパラダイムから、人口減少というパラダイムに移行します。経済の基礎条件が変わります。なので、資本主義を基礎から検証し直して、現行の経済政策と社会制度が人口減少に対応できるかどうかを徹底的に追求するべきです。

この記事が掲載されたのと同じ日に、ほかの筆者による生産性に関しての記事が公開されていました。生産性の向上に関心を持つ人が増えるのは大歓迎なのですが、その記事には「よくある誤解」と「論理的な飛躍」が数多く見られました。

ちょうどいい機会ですので、その記事の検証を通して、よくある反対論のどこがおかしいのか、ご説明しようと思います。

一般的に、人口減少・高齢化という危機的状況を迎えているこの国では、国の将来を左右する国策を決めるための議論をするときには、有識者も含めて責任の重みをもっと真剣に捉えるべきです。軽い気持ちで適当な理屈を考えたり、自分の今までの意見を正当化したりするのは、厳に慎むべきだと強く思います。

とくに、人によっては、どうしても「日本は特殊な国」だったり、「日本の社会制度が優れている」という結論ありきの説を正当化したがる傾向が目につきます。

今は、日本の制度が優れているかどうかの議論をしている場合ではないのです。そもそも、日本の制度は人口が激増していた時代にできたものなので、人口が減少するとなれば、必要な調査を行い、その結果を分析・検証し、人口減少の時代にふさわしい制度に変えなくてはいけません。

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