スマホで敗れた「ノキア」が再び復活できた理由 大変革を率いた現役会長が語る激動の日々

東洋経済オンライン / 2019年7月14日 7時40分

ノキアのリスト・シラスマ会長は、同社の大変革期を率いてきた(撮影:佐々木 仁)

かつて携帯電話市場を席巻した「北欧の巨人」、フィンランドのノキア。旧来型携帯電話の呪縛から逃れられず、スマートフォン市場では大きく出遅れ、アップルのiPhoneやグーグルが開発したアンドロイドOSにシェアを大きく奪われた。

携帯事業に可能性を見いだせなくなったノキアは、マイクロソフトに同事業を約54億ユーロで売却することを決断。その後は通信機器メーカーとして再出発を果たし、当時ささやかれた倒産危機を逃れた。現在は次世代通信「5G」の重要プレーヤーとして注目されている。

この大変革期に同社を率いたのが、2012年に就任した取締役会会長のリスト・シラスマ氏だ。来日したシラスマ氏にノキア復活の舞台裏を聞いた。

■iPhoneになぜ大敗したのか

――そもそもスマートフォン市場で大敗した原因はどこにあったのでしょうか。

私が会長になってすぐに感じたのは、すべてわれわれ自身の間違いだったということ。当時を振り返れば振り返るほど、破壊的テクノロジーにあらがうことの難しさを思い知らされる。生物の進化の過程にも似ていて、新参者が非常に優位に立つ。

ノキアはスマホが登場する以前から、旧来型の携帯電話を作っていた。このビジネスは非常に成功し、世界のトップシェアを握った。だがこの成功に固執し、スマホへの参入が遅れた。ノキアの携帯を持つ消費者にアンケートをとると、95%はタッチパネルのデバイスを使いたくないと答え、数字キーボードやQWERTYキーボードが圧倒的な支持を集めた。結局消費者の要望のうち、目に見える部分だけのものに従っていた。

さらに、旧来型携帯ではソフトウェアはあまり重要でなく、複雑性はハードウェアのほうにあった。それゆえ、当時はデバイスの機種ごとにソフトウェアの仕様が変えられていた。スマホでも複雑な仕様設計を続けてしまった。

顧客である通信会社からの要求もあった。スマホに変わったことで増える通信料について苦情を聞きたくないため、アプリを開こうとすると「追加的な通信料がかかる可能性がある」という通知をいちいち出したり、各社それぞれの仕様に合わせたメッセージアプリを搭載したりした。その結果、われわれのスマホOSはジャングルのようになっていった。

――通信会社との関係に縛られていたのですね。

そもそも消費者の顧客は通信会社のもので、われわれのものではないと考えていた。アップルが「アップルID」でユーザーを囲い込んだように、われわれも「クラブ・ノキア」という仕組みを作ろうとしたが、通信会社からは反対された。

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