スマホで敗れた「ノキア」が再び復活できた理由 大変革を率いた現役会長が語る激動の日々

東洋経済オンライン / 2019年7月14日 7時40分

NSNの完全子会社化が決まり、さらに2014年4月にマイクロソフトによる携帯事業の買収が完了して、われわれはようやく通信機器ビジネスへの注力を決定した。この分野は長年の経験があるうえ、従来からの顧客である通信会社からも受け入れられやすかった。さらに5G時代の到来で、多くの設備投資のチャンスがある。

――2015年にはフランスの通信機器メーカー、アルカテル・ルーセントを156億ユーロで買収しました。

ノキアは戦略的にとてもよいポジションにいると感じている。これだけ幅広い製品群をグローバルに、大企業や通信会社向けに供給できるメーカーはほかにいない。別々のベンダーに頼らずとも、ノキアはネットワーク構築に必要な一通りのソリューションを提供できるようになった。

■起業家マインドがノキアを変えた

――会長に就任し、巨大企業であるノキアを変革するには、多大な労力を必要としたと思います。シラスマ会長を駆り立てた原動力は何だったのでしょうか。

多くの起業家は同じように考えると思う。私は1988年にセキュリティのテクノロジー企業を立ち上げ、18年間CEOを務めた。今でもその会社の最大株主であり、会長だ。物事が間違った方向に行かないように、頭の中でシナリオを作らないわけにはいかない。

ノキアでも同じ気持ちだった。会社が正しい文化を醸成できていれば、従業員は皆プライドを持つ。プライドを持っていれば、会社がうまくいくために何ができるかを考える。たとえ外部から招かれた経営者であっても、傍観者にはならず、起業家として責任を持たなければならない。そういうマインドを、私は自分で持とうとした。

――現場の社員とのコミュニケーションも重視しているようですね。

私は純粋に、会社の中で何が起こっているかということに興味があった。そして誰かが私の部下だと思ったことはない。私が創業した会社では皆平等だ。私がボスではなく、皆が一様に同僚だった。単に、私には特定の役割と下すべき意思決定があっただけだ。

だからノキアの本社では今でも、私はカフェテリアに座り、紅茶を飲みながらメールをチェックする。なるべく近づきやすい雰囲気を出すよう努めていた。通りかかった人々と話す。時には会ったことのない社員とも。彼らが取り組んでいるプロジェクトのことを効き、議論を交わす。そうすれば、うまくいっていること、いっていないことがよくわかる。

中川 雅博:東洋経済 記者

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