「麺家 うえだ」女性創業者が悩み抜いた引き際 埼玉・志木「焦がし醤油ラーメン」の名店

東洋経済オンライン / 2019年7月15日 7時30分

「麺家 うえだ」の創業者であり店長の上田みさえさん(筆者撮影)

■20年のラーメンづくりから「卒業」

6月30日、埼玉県新座市にある有名ラーメン店「麺家 うえだ」の女性創業者が、お店から「卒業」した。上田みさえさん(76歳)がその人だ。東武東上線志木駅から徒歩8分に立地する行列のできる人気店である。

【2019年7月17日7時45分追記】初出時、「麺家 うえだ」の所在地に誤りがありましたので表記のように修正しました。

上田さんは56歳で「麺家 うえだ」をオープンしてから、20年間にわたって数々の苦難を乗り越えながらお店を存続させてきた。70歳を過ぎても厨房に入り、自らスープを作り、麺上げや盛り付けまで行っていた。

街の中華料理店やラーメン店の店主は高齢化が進んでいる。厚生労働省医薬・生活衛生局の2016年調査によると、中華料理店(ラーメン店含む)の経営者の年齢別の構成割合は下記のとおりとなっている。

30歳未満 0.5%
30〜39歳 6.8%
40〜49歳 18.3%
50〜59歳 29.8%
60〜69歳 30.6%
70〜79歳 13.1%
80歳以上 0.8%

「60〜69歳」の割合が最も多く、「50歳以上」で見ると74.3%とほぼ4分の3を占めている。しかも、全体の68.0%が個人経営店であり、高齢の店主が個人で開いている中華料理店やラーメン店がいかに多いかがわかる。

後継者不足に悩む店主も多く、全体の69.1%が「後継者なし」と答えている。現代の価値観の中で「家業」という考え方が薄れ、子どもに後を継がせたいという店主が少なくなってきているのが現状だ。中華料理店やラーメン店の後継者問題の現実と引き際のタイミングを、上田さんの半生を振り返りながら考えてみたい。

上田さんの「卒業」発表後、多くのラーメンファンや常連が「麺家 うえだ」を訪れ、皆口々にねぎらいの言葉をかけた。そんな上田さんの20年間のラーメン人生は実に波瀾に富んだものだった。

27歳までインテリアデザイナーとして働いていたが、女手ひとつで息子を育てるために31歳で飲食業の道に踏み出す。

コーヒー専門店から始まり、焼き鳥屋、居酒屋、焼き肉屋と、25年の間で4店舗を経営した。ホールはアルバイトに任せられるが、厨房で味を守るのは自分だと、お店を立ち上げるたびに修業をし、数々の料理を覚えた。とにかく子育てのためにがむしゃらに突き進んだ25年間だった。

■ラーメン店を始めたきっかけ

息子が結婚をしたことをきっかけに、自身の経営を見直す。なかなか信頼のできる部下に恵まれず、人を雇用するということ自体にも疑問が湧いてきていた。人に頼ることなく全工程を1人で完結できる飲食業はないものか、上田さんは考えた。

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