異色の「自転車列車」、愛好者と育てる手作り感 房総に人を呼び込む「B.B.BASE」の秘密

東洋経済オンライン / 2019年7月18日 7時0分

一方、観光地側も、駅から見どころまでの二次交通が課題となっていた。送迎や路線バスには限界があり、レンタサイクルも、房総に人を呼び込むコンテンツにはなっていなかった。

■南武線最後の209系の引退が好機に

都心から、直接スポーツサイクルを持ち込める専用列車を定期的に運行すれば、これまでサイクルツーリズムに無縁だった層を呼び込め、同時に駅からの行動範囲も飛躍的に広まって二次交通の問題を改善できるのではないか。新規需要創出と二次交通問題という、2つの問題に対応できる施策として生まれた企画が、サイクルトレイン専用車両の開発だった。2016年のことだ。

だが、元となる車両が問題となった。車両の新造は予算的に不可能。既存車両からの改造が前提となるが、2016年当時は適当な車両がほとんど見当たらなかった。最初は特急「スーパーひたち」に使われていた651系電車が検討されたが、特急用であるため乗降口が2カ所しかなく、乗降デッキと客室が分かれているなど、サイクルトレインには適さなかった。

「いくらコンセプトがよくても、それを活かせる車両がなくてはコンセプトを実現することはできません。そこへ、南武線の最後の209系がE233系に置き換わる話がありました」(JR東日本千葉支社 営業部 販売課 宣伝グループ 八木雄基氏)

2016年当時、立川と川崎を結ぶ南武線では新型車両の導入が進み、2009年に京浜東北線から転属してきた209系は「ナハ53編成」を残すのみになっていた。それが、2017年にE233系に置き換えられることになったのだ。

「現在房総地区で主に使われている車両も209系ですから、メンテナンスや運転操作について共通化を図れます。4ドアロングシートなので、自転車を積み込むのに都合がよく、この車両を使うことになりました」(八木氏)

サイクルトレイン計画が遅れていれば、ナハ53編成は他の編成と同様廃車・解体されていたかもしれない。まさに絶妙なタイミングだった。

車両が決まると、次の問題は車内のレイアウトだ。いかにして、自転車を安全かつ簡単に積み降ろせる構造にするか。まずは市販のラックを試してみたが、うまくいかない。

「揺れる車内でも外れないなど、安全性をしっかり確保したうえで、どなたでも簡単に着脱できる必要がありました」(八木氏)

そこで出てきたのが、向かい合わせボックスシートの背もたれを強固なものにし、座席の背後に自転車を縦置きするラックを設置するというアイディアだ。手前に引き出したガイドフレームとラックで前輪を挟み込むようにセットし、ナイロンベルトで車体を固定する。シンプルで確実な機構だ。

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