なぜいま東京の若者が「農業」を始めるのか レストランで収穫後すぐの野菜を提供できる

東洋経済オンライン / 2019年7月26日 18時0分

近郊の自社農場で収穫した野菜を都内で提供するレストランチェーン、ALL FARM。写真は4月にオープンした目黒店(筆者撮影)

近年、若者の間で農業への関心が高まっている。とくに都内や近郊での新規就農者が増えているようだ。

農業と言えば、ブランド野菜やフルーツを別として、収益が低く専業ではやっていけない、後継者がいない、といった厳しい現実が知られている。そのような農業に、なぜ若者が目を向けているのだろうか。そして、あえて都内や近郊で農業を始める理由はどこにあるのだろうか。

■なぜ今、都会で農業なのか

都内の農業の状況について、一般社団法人東京都農業会議業務部長の松澤龍人氏は次のように説明する。

「東京都ではそもそも農地が少なく、これまでは、東京の農業は『残っている農地をいかに守るか』という視点で語られてきたような気がします。しかし10年ほど前から、新たに農業を始めたい、という希望者が出てくるようになった。2009年に、東京都西多摩郡瑞穂町で新規就農1号が誕生しました。それ以来、農業会議を通じて80以上の農業法人、就農者が新規参入しています」

同会議を通じ就農したこれらの農業団体は「東京NEO-FARMARS!」と称して活動している。記事(シズラー「アジア最大級の店」は何が違うのか)でお伝えしたシズラーに、都内で収穫された新鮮な野菜を届けているのも同メンバーだ。

東京都農業会議は1954年に東京都農業委員会として発足。その後法改正によって組織改編し、2016年より現組織に移行した。業務としては、農業に関わる法制度についての審議や相談対応、農地の調査、農業経営の支援などを行う。また新規就農者の相談に応じて、農地のあっせんをはじめ販売ルート紹介まで、就農のサポートを行っている。

ここ10年で東京都で新規就農者が増えた理由としては、農地貸借の制度が変わり、充実してきたことがある。これまでは、農地を所有することが優先されてきたが、新しい制度では、農地を貸借することに重点を置いた。一般の人でも農業を始めやすくなったということだ。

「2018年8月からは市街化区域でも農地が借り入れられるようになり、すでに日野市で新規就農者が誕生しています。新規就農希望者がこれほど増えているという現状から、東京都のほうでも支援体制を整えてきています」(松澤氏)

【2019年7月29日17時00分追記】初出時、農地借り入れ区域の表現に誤りがありましたので、上記のように修正しました。

2020年には東京都の施設として新規就農研修センターの開校が予定されている。

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