JR東の新たな一手、英国で「日本流」は根づくか 駅ナカ自販機を設置、鉄道運行面では課題も

東洋経済オンライン / 2019年8月5日 7時10分

イギリス・ウェストミッドランズトレインズの駅に設置された自動販売機(写真:JR東日本)

2017年12月の「英国進出」から1年半あまりが経過。JR東日本が”日本流”の成功モデルを現地に持ち込んだ。

それは、日本の「自動販売機」だ。JR東日本が運営に参加している英国ウェストミッドランズトレインズで、7月4日から同社の駅構内で自動販売機を通じた飲料や菓子類の販売提供が始まった。

機械の正面が大型のデジタルディスプレイになっていて、コーヒーやお茶などドリンクの画像が映し出されている自動販売機をJR東日本の駅ナカで見かけたことがあるだろう。JR東日本はこの自販機の開発や運用で培ったノウハウを英国に持ち込んだ。バーミンガムスノーヒル駅に2台、ノーサンプトン駅に1台、計3台の自販機を設置、飲料だけでなくお菓子も自販機で買えるようにした。はたして英国人に受け入れられるか。

■英国「駅ナカ」の可能性

ウェストミッドランズトレインズは三井物産、オランダ国鉄系の鉄道会社アベリオとJR東日本の3社が設立した鉄道会社で、ロンドンとバーミンガムを結ぶ「ロンドン・ノースウェスタン路線」と、バーミンガム近郊の路線網「ウェストミッドランズ路線」の2路線の運行を担っている。鉄道大国・日本における最大手の鉄道会社であるJR東日本のノウハウで沿線価値を向上させたいと、現地では大いに期待している。

「でも、沿線価値向上の前に、駅の利便性をもっと高めたい」と、JR東日本事業創造本部 新事業・地域活性化部門の松澤一美次長は話す。英国の駅ナカは日本の駅ナカのようにあちこちに自販機が設置されているわけではない。「駅にはもっと可能性があるのに。もったいない」。松澤氏はそう感じた。駅ナカの利便性を高める尖兵が自販機だった。

単に日本の自販機ノウハウを英国に持ち込んだのではない。現地化を徹底させた。自販機は日本からの輸入ではなく、英国の自販機メーカーが製造した。そして地元の業者が自販機で売る商品の仕入れ、補充、保守などの業務を行う。

ここまで徹底しているのは、英国での本格的なビジネス展開を見据えているからだ。自販機が3台だけというのが気になったが、「マーケティング的な位置づけ。販売動向を今後の展開に生かしたい。設置台数は10台程度まで増やしていきたい」(松澤氏)という。今回の試みは来年6月末までの予定だが、当然その先の展開もにらむ。

日本の自販機とは違う機能もある。自販機に鉄道のリアルタイム運行情報が表示されるのだ。英国では日本と比べると駅構内で列車運行情報が表示されることが少なく、自販機を情報表示器としても活用させることにしたのだ。また、自販機にはカメラが設置されている。これは防犯目的として使われるほか、自販機の前に人がいるかどうかを認識して、人がいないときはディスプレイをデジタルサイネージ(電子広告)として活用することもできる。

■肝心の稼働状況は?

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