遺産相続めぐる「骨肉の争い」はこんなにも醜い お金持ちじゃない家庭でも普通に起こる

東洋経済オンライン / 2019年8月5日 7時20分

働き盛りのビジネスパーソンが、近い将来直面するのは親に関する難題だ(デザイン:熊谷直美)

相続トラブルというと、多額の資産を持っている富裕層の家庭で起こるものと思われがちですが、そうとは限りません。財産をそれほど持っていなくても、相続をめぐる争いはどこの家庭でも起きます。

■ケース1:仲のよいきょうだいの関係が完全崩壊

『週刊東洋経済』8月5日発売号は「相続・終活・お墓」を特集。最新事情を追っています。ここでは筆者が弁護士時代に遭遇した、実際の紛争を紹介しましょう(事実関係については一部変更しています)。紹介する家族は明日のあなたの姿かもしれません。誌面版、「弁護士は見た!」です。相続で不幸にならないための、他山の石としてください。

Aさんは4人きょうだいの末っ子です。もともときょうだい仲はよく、互いに行き来もありました。父親はすでに亡くなっていましたが、母親が亡くなると途端に関係が悪化しました。

きっかけは母親と同居していた長男が母親の預貯金をすぐに示さず、自分がその多くを相続すべきと主張したことです。長男は「長男だから家を継ぐのは当然」で、預貯金の詳しいことをきょうだいに開示する必要はないと考えている様子でした。しかも「自分たちは両親が亡くなるまで介護を行っていたのだから、その分も多く遺産をもらえるはずだ」と主張しました。

しかし民法ではすべての子どもに同等の相続権を認めています。さらに亡くなる直前まで母親は元気だったので、介護の苦労は小さかったはずと、Aさんは思いました。当然Aさんを含む3人のきょうだいは納得できず、長男に対してすべての遺産の開示を求め、何度も話し合いを重ねましたが平行線のままでした。

そこでAさんたちは家庭裁判所に遺産分割調停を申し立てました。裁判所の調停委員が間に入り、話し合いが持たれましたが、どちらも互いに譲りません。

遺産分割調停が不調に終わると審判という手続きに移り、裁判官が遺産分割方法を指定します。審判では法律的な主張や立証ができないと不利になるので、Aさんたちは高額な費用を払って弁護士に依頼をしました。

長男側も弁護士を雇い、互いが弁護士を通じて主張の応酬を行い、ようやく裁判所が審判を下して遺産分割の方法が決まりました。

その内容は、法定相続分を基本としつつ、長男の介護に伴う寄与分をいくらか認めるものでした。

双方痛み分けのような解決方法となりましたが、結局トラブルが収束するまでに5年の年月が費やされました。

母親が亡くなった時点でAさんは70歳手前、長男は70代後半と高齢で、長年の骨肉の争いによって互いに疲れ切ってしまいました。遺産相続トラブルが解決した後も、Aさんと長男とはいっさい付き合いがなくなりました。

■ケース2:遺産相続をきっかけに家を追い出される!

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